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FamilyMartってTommy heavenlyとちょっと文字の雰囲気が似てる気がするBlog

何気ない日常、音楽や映画や小説やテレビなどの感想。

或る学校生活の群青

確か、高校二年生の頃。一度だけ他校の女子と映画を見に行った事がある。

リア充」というレッテルを貼る手を休めて、どうか最後まで読んでほしい。

「彼女がほしい」という男子高校生ならば誰もが持つであろうプレーンな願望、もちろん俺も持っていた。

友達に紹介してもらった女の子を、勇気を振り絞り、映画見に行こうと誘った。そして当時公開していた「クローズZERO」を見に行ったのだ。映画自体は楽しかった。ただ、初めて女の子と一緒に映画を見に行ったんで、ドキドキしてあまり内容を覚えていない。山田孝之さんのアクションがカッコよかった。

映画を見た後、せっかくだからと記念にプリクラを撮った。他校の女子と映画を見に行ってプリクラを撮った。という冴えない俺の青春時代にとって勲章の様な出来事だ。家に帰ってプリクラを見た、カラフルに彩られたフレームに押され気味の冴えない表情の、俺。「カッコいい男になりたい」と思った。

しばらくしてから、その女の子に付き合ってほしいと告白した。
今は勉強に集中したいらしく、ちょっと考えられないとの事、結果はダメだった。
クローズZEROには続編はあったが、その女の子と俺との恋に続編は無かった。あっけなく終わった。

クローズZEROにはそんなほろ苦い思い出がある。クローズZEROを見に行った翌日、友達からプリクラを見られて「うわー」と散々いじられた時「ぶっ飛ばしてやろうか」と思った。クローズZEROを見たせいで、ちょっと強気な気分だったのだ。喧嘩なんて一度もした事がない俺なのに。ぶっ飛ばしてやろうかと思ったけれど、怖かったのでぶっ飛ばさなかった。冴えない。

時期は一緒だったかは定かではないが、映画クローズZEROや、後に映画化した小説ドロップが大流行して、不良少年の青春がちょっとしたムーブメントになっていた。

ドラマ「ルーキーズ」も大流行した。野球を題材にしたドラマなら木更津キャッツアイの方が大好きだったので、俺はドラマ「ルーキーズ」を見ていない。

喧嘩にあけくれる不良少年の青春とは、極北の位置に俺はいた。学生時代にやった悪い事といえば「学校に持ってきてはいけない漫画やCDを持ってきた」だけだ。文化系不良少年だ。

「不良少年」を題材にした小説なら、やっぱりゲッツ板谷さんの『ワルボロ』は名作だと思う。
映画ならやっぱり豊田監督の「青い春」だ。あれは本当に大好きな映画。文化系な俺は、クローズZEROの「喧嘩最強だぜおらぁ!」みたいな体育会系の雰囲気が、どうも受け付けない場面があったのだ。
だから、これ。豊田監督の「青い春」爽やかじゃない、冷たい風が吹き抜けるような、切れ味のある世界観。
校舎に充満する、退屈な日常と狂気とバイオレンス。松田龍平さん演じる主人公がボソっと言う「先生、咲かない花もあるんじゃないですか」というセリフのカッコよさ。どこかシニカルで文学的な雰囲気が漂う。たまらなく、大好きだ。

ナイフの表面でほっぺたを優しくなでられた時って、多分このくらいゾクゾクするんだろうなというくらいに、映画「青い春」で描かれる青春は、冷たく心地よい。