君の街まで
「じゃあねー」
夜の街が静かすぎて、シンプルな別れの挨拶が、やけに大きく聞こえた。
深夜。
街は眠ったかのように静まりかえっている。
俺は歩き出した。
3月17日の夜、中学生の頃からの付き合いである友達2人と集まり、色々と喋った。
友達の家に向かう途中、スーパーでお菓子などを買った。
何かもう、その買い物自体も楽しいんだよね。
友達と喋るのは、楽しくて大好き。
懐かしい話、ふざけた話、ちょっと真面目なシリアスな話まで、色々。
さて、帰ろう。と家を出た時には日付は変わっていた。真夜中だ。
「雪降ってなくてよかった」と玄関を出た俺はそう言った。
友達の家まで、またくだらない話をしながら、歩く。
なんだか懐かしい気分がするのは、中学生の頃も、学校帰りによくこうやってくだらない話をしながら友達の家まで歩いていたから。
卒業アルバムを開かなくても、あの頃聴いていた「音楽」が懐かしい記憶を呼び覚ますスイッチになる。
「あの時こんなことあったよね」と、自分のお気に入りエピソードを話す瞬間が、俺は好きだ。
天体観測、君の街まで、イエロウ。
カルマ、ブラックアウト、ローラーメット。
あの頃。
冴えなかったけれど、それなりに楽しかった青春時代を真空パックしている音楽。
街は変わる。
店内でカードゲームに熱中したゲームショップも、もう無い。
俺たちも変わる。
もう中学生じゃない。当たり前だ。
中学生の頃の思い出話をしたりみんなで集まると、一瞬だけ中学生に戻った感覚がするけれど。もうみんな中学生じゃない、大人だ。
変わらないのは、あの頃の記憶の中にいる俺たちだけ。
自分の家まで歩いて帰る時、急に一人になったからさみしくて、文化系トークラジオLifeの過去放送を聴きながら帰った。
「今日楽しかったな」という思いを噛み締めて、自分の部屋のベッドに潜り込んで眠る瞬間って、幸せだと思う。
そう、昨日の夜はすごく楽しかったんだ。
Syrup16gの曲をシャッフルで聴きながら、ブログを更新する。