映画「その夜の侍」を見た感想
「その夜の侍」という映画を見た。
タイトルから想像するに時代劇かと思ったら、そうでは無かった。
舞台は現代。
登場するのは、どこにでもあるような街並み。
そんな街並みで一際異様な雰囲気を放つのは、堺雅人演じる「中村」だ。無表情に淡々と日々を過ごしている様に見えるが、徐々に狂気が見え隠れする。留守番電話を聴きながら、プリンを貪る姿は一度見たら強烈なインパクトがある。
「中村」ともう一人、この物語には主役がいる。
山田孝之演じる「木島」だ。このキャラクターはとにかく「怖い」の一言につきる。「俺には怖いものがない」と言わんばかりにムチャクチャで破天荒。
警備員と口論になるシーンがあるのだが、あのシーンは見ていて息苦しいような恐怖を感じた。有無を言わさず他者をねじ伏せていくかの様な存在感がヒリヒリと心を撫でていく。
ただ、恐怖と同時にやはり「この先どうなるんだ?」という続きを見たい気持ちもある。
しかし、一見怖いものがない様に見える木島も、実は密かに恐れている事があった。木島へ届く脅迫状。木島が起こしたある事件の「復讐」がこの作品のテーマといえる。
ラスト、土砂降りの雨の中。
木島は復讐者と対峙する。
あのシーンは怖かった。
復讐者が言い放った一言は衝撃的で予想外だったけれど。けれど、愛する妻を亡くし、味気ない孤独な日々を過ごしてきたらそんな一言を叫んでしまうだろうなと思ってしまった。
「その夜の侍」というタイトルもすごくステキだと思う。
多分、一度見たら強烈なインパクトを残す様な映画だと思う。