久保能町、モテキだけじゃないもう一つの夜明けのBEAT
「モテるーっ」
ってまるでダイノジのコントのフレーズの様に言ってみたくなる、そのぐらいモテたのは幼稚園から小学校低学年くらいまでだと思う。
中学生、高校生という思春期真っ只中の時はモテなかった。
女子たちが覗く恋愛対象というスコープの範疇外にいたのだ。
「恋愛対象として見られない」という身に付けたくなかったステルス機能が作動してしまい、運命の赤い糸が複雑に交差する甘酸っぱい青春の隙間を容易くくぐり抜けてしまった。
「モテキ」という漫画を見つけたのは高校生の頃だったと思う。
コンビニでパラパラと何気無く立ち読みしたが、主人公や主人公に降りかかる言葉のリアルさに「モテない」俺は圧倒されてしまった。
女の子に告白してはフラれっぱなしの冴えない俺には漫画「モテキ」は響きすぎた。
時は過ぎ、大人になってから何気無く見た「モテキ」のDVD、1話目を見終わった瞬間に「めちゃくちゃ面白いじゃないか!!!」と叫びたいくらいに夢中になった。響いた、オープニングテーマのフジファブリックの「夜明けのBEAT」並の軽快なリズムで、ズシンとズシンと物語が鳴り響いた。
バンドTシャツ、30ミニッツのDVDBOXについてくるであろうポストカード、iPhone、銀杏BOYZ、DJダイノジ、ロックンロールは鳴り止まないっetc音楽、漫画、映画、セリフやシーンのあちらこちらにこれでもかというくらいに散りばめられたカルチャーへの愛に打ち震えた、森山未來演じる藤本幸雄の部屋を再現したミュージアム的なものを作ってほしいくらいにあの部屋に憧れた。
冴えなくてモテなくて、けれど恋がしたい俺の心を揺らし続けたドラマ「モテキ」だ。
そのDVDの副音声として大根仁さんと久保ミツロウさんのオーディオコメンタリーがついていた。それがまたむちゃくちゃ面白かった。誰もが生きてるうちにいつかは体験する「あ!久保ミツロウさんって女性の方なんだ、ミツロウだから男性かと思っていたと思う現象」はモテキのDVDの副音声で俺は体験した。
何気無く調べてみたら能町みね子さんの本も昔読んだことがあった、実は能町さんの本を読んでいたことに我ながら驚いてしまった。
久保ミツロウと能町みね子のオールナイトニッポンZEROを何度か聴いたことがある。二人のトークがとにかく面白くて大好きだった。久保さん能町さんのいい意味での「等身大感」がよかった。リアルな気持ちというか、お笑い芸人やミュージシャンではないポジションだからこその、聴いてるリスナー側に近いトーク、絶妙な温度と切れ味。多分「エア旦那」のコーナーに送られてきたであろう「エア戸田恵梨香」ネタに爆笑してしまった。
鋭い観察眼と軽妙なトーク、バクバク鳴ってる2人のトーク、深夜ラジオを躍らせる夜明けのBEATはここでも響き渡っていたのだ。