立川吉笑が今一番面白い、なう。
小学生の頃、国語の教科書に「ぞろぞろ」という落語が載っていてそれが俺と落語とのファーストコンタクトだった。
小学生ながらに「面白いなぁ」と思った記憶がある。
時は経ち、中学生の頃に「タイガー&ドラゴン」という落語を題材にしたドラマが放送された。
脚本は宮藤官九郎。
岡田准一演じる竜二が落語を話しながら夜の道を歩くシーンがすごく印象的だった。
とにかくカッコ良かった、衝撃を受けた。
DVDを見終えてすぐに自分の部屋から茶の間へ移動し、誰もいないシンとした茶の間に座布団を敷き、見よう見まねで千原ジュニアの「死神」を話した。
小学生に「ぞろぞろ」を好きになった瞬間から「落語好き」になるキッカケは芽生えていたのかもしれない、その芽はタイガー&ドラゴンで養分を蓄え、千原ジュニアの「死神」で開花した。
落語への興味が湧いた。
多分、その頃愛読していたダイノジ大谷ノブ彦さんのブログで知ったのかもしれない、それまで日本語ラップや椎名林檎やアジカンのCDなどを借りていた俺が、初めてTSUTAYAで借りた落語のCDは立川談春だった。
落語ルーキーにはいきなり濃かったかもしれないチョイス、例えるならば電気グルーヴのアルバムを聴こうとしていきなり「VOXXX」を聴いてしまったような感覚か。
立川談春の語り口に引き込まれた、落語の世界へ一歩踏み込んだ気がした、今までよりももっと強く「落語が好き」という世界に踏み込んだ気が。
立川談春の名著『赤めだか』は何度も読んだ。
何度読んでも面白いし何度でも読みたくなる魅力の詰まった一冊だと思う。
『赤めだか』の中に出てくる落語「除夜の雪」が気になり、桂米朝の落語を聴いたりもした。
そんな俺が今一番好きで今一番注目している落語家は「立川吉笑」だ。
キッカケは立川吉笑のブログだった。
銀杏BOYZについて書いていたのである。
月9ドラマ「恋仲」で高校時代の福士蒼汰と本田翼が聴いていた銀杏BOYZだ、俺も高校時代の頃に聴いていた、何度聴いたことか、青春時代に銀杏BOYZの楽曲に何度救われたことか。本田翼のような可愛い女の子と一緒に聴きたかったが、一人で聴いていた、悲しい。
銀杏BOYZが9年ぶりにアルバムをリリースする前日に何気無く行ったTSUTAYAで新しいアルバムの店頭プロモを見つけた瞬間「本当にアルバム出るんだ」と涙が出た、TSUTAYAを出て入り口近くで静かに泣いた。そのくらい銀杏BOYZが大好きな俺だったから、すぐにそのブログを読んだ。
何度も読んでしまうくらいに素晴らしいブログだった。
立川吉笑の「ぞおん」を初めて聴いた時の衝撃は忘れ難い。
立川吉笑の著書『現在落語論』を読んだ。
もう何度も読んでるけど本当最高な一冊である。
立川談志の『現代落語論』が未読な俺は立川吉笑の『現在落語論』がバイブルだ。
落語って何?と興味が湧く人はぜひこの一冊を読むとこから始めてほしい。
これほどまでに落語への入り口に適した書物はあるだろうか。
古臭い、難しそうといった誰しもが抱えがちな落語のネガティヴなイメージを解きほぐしていく感覚の心地良さ。
立川吉笑による落語のシステム、メカニズムの分析がとにかく斬新で面白い。
やはり一番読んで心に残った章は「第4章 落語家の現在」だ。
落語家立川吉笑誕生の道のりとパーソナルな部分、立川吉笑の「笑いのセンス」の骨格を形作る様々なカルチャーが綴られているこの章、落語界に巻き起こる新風が吹き荒れる音が聞こえてくるような感覚がした、立川吉笑は間違いなく落語界に新しい風を吹かせると思う。
著書の中で、立川吉笑は千原兄弟の「プロペラを止めた、僕の声を聞くために。」を一番好きなライブDVDとして挙げている。
だからこそ、立川吉笑の「センス」が好きなのだ。
銀杏BOYZ、ダウンタウン、ラーメンズ、千原兄弟、POISON GIRL BAND、榎本俊二のギャグ漫画etc、落語プラスα、感覚の中に次世代のカルチャーからの影響が脈打つ、立川吉笑の「笑い」が今一番面白いと思うし、今一番興味がある。
いつの日か生で落語を観てみたい。