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FamilyMartってTommy heavenlyとちょっと文字の雰囲気が似てる気がするBlog

何気ない日常、音楽や映画や小説やテレビなどの感想。

藤井健太郎さんの著書『悪意とこだわりの演出術』を読んだ。

中学生の頃、期末テストが憂鬱だった。
期末テストはもちろん嫌なのだけれど、他に何が嫌かって、期末テストが近くなると、放課後残ってテスト勉強していかなければならないのだ、あれが嫌だった。
もちろん居残り勉強は強制ではないのだけれど、クラスの大半が残って勉強しているのにそそくさと帰るのは気まずい。だからと言って勉強するのも気がのらない。
帰りの会」が終わっても1時間くらいは残って勉強していかなければならないという暗黙の了解が、けだるい空気が漂う放課後の教室の中にゆっくりと沈殿していった。

しばらく時間が経つと、勉強に飽きてくる友達がちらほらと出現し始める。
そしてお互いに問題集を見ながら問題の出し合いが始まる。
最初は普通に問題に答えていたが、徐々にふざけた答えを言うようになり、後半は完全に「笑わせたやつが勝ち」という空気になる。
参加者も3人くらいから5人くらいに増え、賑やかになっていく。

思い切って俺もその「テスト勉強大喜利」に加わった。
俺の一言でみんなが笑う、もちろん笑わないこともある、その一喜一憂が楽しかった。
唯一覚えている自分の解答は、多分社会の問題だったと思う「民家すれすれを飛ぶ◯◯」の空欄を埋める問題。
問題文の隣には戦闘機の写真が載っていて「民家すれすれを飛ぶ梨花」と答えた。
世代的にロンハーなどで梨花がブレイクしていた頃だったから出てきた答えなんだろう、問題の内容が内容だけにちょっと不謹慎かもしれないが中学生だったしまぁそこは許してほしい、悪意はない。
ちなみにこの答えは、周りの友達に「言うと思った」と言われた記憶がある。
「つまんない」よりも「言うと思った」の方が受けるダメージはちょっと大きいと思う。

めちゃイケ笑いの金メダルエンタの神様、ロンハー、内P、深夜のはねトび堂本剛の正直しんどいetc、中学という多感な時期にブラウン管の向こう側、面白いテレビ番組が冴えない青春時代を笑いで彩ってくれた。

時は流れて、高校生になり、そして今現在は社会人として働いている。

テレビ番組の移り変わりはあれど、「昔に比べて何曜日が楽しみ!という感覚は薄らいだな」と感じることはあれど、テレビ番組を見ていたし、ふとした瞬間に笑ったしまうのはテレビのバラエティ番組がキッカケである事が多い。

地獄の底から芸能界の頂へ、奇跡的な生還を遂げた有吉弘行をテレビで見ない日は無い。歯に衣着せぬ本音トーク、本質を見抜いたような毒舌、ニヒルな笑みを浮かべた有吉弘行は、ともすれば悪役のように映りがちだが映らない、まるで映画「ダーク・ナイト」のジョーカーのように憎めない。狂気とユーモアを、その瞳に宿らせていた。

もしも
「テレビ番組で一番面白かった有吉弘行
はどの有吉弘行ですか?」と聞かれたら、答えはもう決まっている。
クイズ☆タレント名鑑」の人気コーナー「芸能人検索ワードクイズ」での有吉弘行だ。「やっつけ仕事」「虚言症」「修羅場」といういかにもなワードが並び散々ふざけた解答や際どい解答を連発し、「本能」というワードが出た瞬間に「はい、椎名林檎さん」とサラリと正解したあの瞬間の有吉弘行だ。
あの切れ味は衝撃的だったし、その面白さには心底笑った。熱烈な椎名林檎ファンな俺としては椎名林檎をクイズの答えにしてくれたのも嬉しかった。

番組名だけ見れば一体どんな番組なのかはわからない、水曜日に放送されるダウンタウンの番組であることぐらいしかわからない。
記号的でありながらどこか不穏な雰囲気のする名前のこのテレビ番組は2014年に突如として出現した。

正直、熱心な視聴者では無く、時々番組を見る程度なのだが、忘れられない回がある。
視聴者から寄せられた様々な「説」を検証しプレゼンしていくこの番組、中でも印象的なのが「SADSの忘却の空サビを一発で聞き取れる人0人説」である。

もう最高だと思った。サビの聞き取りにくい曲としてSADSの「忘却の空」をチョイスするそのセンスに打ちのめされた。小学生の頃にドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の再放送を見て衝撃を受け、高校生の頃は一時期この曲を着信音にし、大人になってからDVDで全話見たくらいに「池袋ウエストゲートパーク」好きな俺としてはたまらない説だった。

スタジオ内に「忘却の空」が流れ「すべて聞き取れたという方、いらっしゃったら手を挙げてください」と言った小籔千豊へ「そんなこともわかって、僕の声は聞こえてるか? って言うてんの?」とサビの最後の部分にかけて返す松本人志、「空の下」という単語をホワイトボードへ書く時に「いやこれ清春さんやったら宇宙って書く」と言って「空」の字の上に「宇宙」と書くたむらけんじ、「サラダを買うなら」と聞き取った浜田雅功、もう何もかもが面白くて、テレビの前でゲラゲラ笑った。

「逆ドッキリ逆逆逆くらいまでいくと疑心暗鬼になる説」「ホラー映画 製作者の都合でガチガチ説」「箱の中身は何だろうな? クイズ王ならマジで当てられる説」など他にも印象的な説はあったが、個人的にはやはり「忘却の空」の説が一番印象的だし、面白い。
SADSの「忘却の空」を面白がる、その着眼点が新鮮だった。

「クイズ☆スタータレント名鑑」「水曜日のダウンタウン」この二つの番組を手がけた人物こそが「藤井健太郎」である。
こんなにも面白く刺激的な笑いを作るこの人って、一体どんな人物なんだろうと
藤井健太郎の頭の中と人生が気になっていたタイミングで『悪意とこだわりの演出術』という藤井健太郎の著書が発売された。ナイスタイミングである。本屋の店頭、クリープハイプ尾崎世界観の小説の隣に並んでいた。尾崎の世界観よりも藤井の世界観の方が気になった俺は、急いで『悪意とこだわりの演出術』を購入した。

あまりの面白さに一気に読破してしまった。藤井健太郎の「面白い」の価値観な組み立て方、サンプリングの手法をテレビ番組へ用いるその巧みさ、全てが衝撃的だった。
「第3章 テレビマンの青春」も自伝的で藤井健太郎のパーソナルな部分が垣間見れたような気がして読んでいて楽しかった。

「クイズ☆アナタの記憶」でのオードリー春日へのクイズ、青春時代をあんなにも面白くクイズに出来るのかとその発想力に驚愕した。そしてめちゃめちゃ笑ったことを思いだした。「としあきパイとしあき」というロンブー淳さんの声が脳内でリフレインしている感覚。

水曜日のTVヒーローが仕掛ける新感覚の「笑い」にこれからも期待したい。

SADSの「忘却の空」のサビ、俺は「でたらめのチャイム鳴るかわしてる」だとずっと思っていたけど実際は違った。