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何気ない日常、音楽や映画や小説やテレビなどの感想。

ロロ いつ高シリーズ「いつだって窓際であたしたち」「校舎、ナイトクルージング」を観た。

「ロロ」の作品「いつだって窓際であたしたち」と「校舎、ナイトクルージング」がYouTubeにて期間限定で公開中らしく、前々から気になっていた作品なのでワクワクしながら観た。

「ロロが高校生に捧げる新シリーズ」と銘打たれてある様に高校演劇のフォーマットで繰り広げられる本作は高校が舞台の青春劇である。

映画でも音楽でも物語でも、青春がテーマになっている作品が特に好きな俺なのだがこのロロの演劇「いつだって窓際であたしたち」と「校舎、ナイトクルージング」は生涯ベスト級に好きな作品なのかもしれない。

「いつだって窓際であたしたち」の舞台は昼休みの教室が舞台。
カーテンに包まり噂話を始める女子二人組。自分の席で弁当を食べようとした男子、通称「シューマイ」が席から離れた瞬間に、教室に来た謎の黒髪の女子生徒が席に座ってしまう。
居場所が無くなってしまった「シューマイ」は困惑しながらも自分の席の後ろの席に座る事にした。
席の机の上にはヘアワックスが置いてある。「ナカノの4番」である、青いケースの。個人的な意見だが高校生の頃はカッコいい男子やオシャレな男子はほとんどの奴がこの「ナカノの4番」を使っていた記憶がある。

噂話をしていた二人組が「旅先から海荷が帰ってこない」とある女子生徒の事を話し始める。そして教室にやってきた謎の黒髪の女子を発見し今度は「いつも窓の外を眺めている自殺未遂の女の子らしい」とウソか本当かわからない噂話を始める。

教室に男子生徒が入ってくる。
シューマイの後ろの席の「将門」である。将門は少年ジャンプを手に取り「全然再開しないよね、冨樫」とシューマイに話す。
連載と休載を繰り返しながらも根強い人気を誇る冨樫義博の代表作『ハンターハンター』の事である。
噂話をしていた女の子とも、将門はくだけた口調で話し「スカート短くない?」と嫌味なく笑う。
そして冨樫義博のもう一つの代表作『幽遊白書』のアニメ主題歌「微笑みの爆弾」のサビをさらりと歌う。

登場した瞬間から存在感を放っている将門に1人の女子生徒が写真を渡しにくる。「6組って入りづらいんだよね」とぼやく彼女こそが将門の幼なじみ「朝」である。
受け取った写真を見た将門と朝が「ここじゃん教室!」「これ将門の席」と何やら騒ぎ始める。

将門「学校の怪談見た事ある?」
朝「アニメ?」
将門「もあったけど映画映画」
朝「アニメあったよね」
将門「あったあった、パンチラシーンすげぇあった!」

このさりげない将門と朝の会話のやり取りがすごく好きだった。

写真をどこから撮ったのか確かめ始めた将門は、校庭を走る1人の男子生徒に気付く。
走っている生徒とは、よく一緒のバスで前後の席になる将門は、いつも彼が読む漫画を後ろの席から盗み読んでいるのだが、自分が読むタイミングと男子生徒がページをめくるタイミングが同じだと話す。
「聞いてくるわ、名前!」と言って教室を飛び出す将門。そこで「今日いいの?楽と肝試し」と朝が問いかける。これが「校舎、ナイトクルージング」へとも繋がってくる。

「男子生徒の名前は太郎」
「海荷と太郎が付き合っていたが一カ月前に別れた」
「別れてから海荷は旅に出て、太郎は走り始めた」
噂話をする二人組と朝のさりげない会話から発覚していく出来事、物語が動き出す感覚が心地良い。

教室には黒髪の女子生徒、朝、シューマイの三人。ここで朝と、教室の窓から校庭を見ていた黒髪の女子生徒が会話する。

黒髪の女子生徒の名前は白子、白子が机に置いているジオラマについて朝が尋ねると「机の上にギュッて、世界敷き詰めてる」と答える。
その後に白子と朝による英語の授業にも似たやり取りがあるのだがそれがすごく面白かった。白子の「キーックキーックほろびろ!」というセリフが特に。

校庭に向かって「ウソだ!さよならなんてウソだ!」と叫ぶ白子。
まさかの「前田亜季が出演していた南アルプス天然水のCM」からのサンプリングである。将門に呼ばれた朝が校庭へ行き、教室にはシューマイと白子の2人だけになる。

太郎が走っている事と白子が校庭の太郎を見ている理由がわかり、物語はクライマックスへと疾走していく。

昼休みが終わりに近付くにつれ、物語は終わりに向かっていく。噂話をしていた二人組も、将門も。

シューマイが、風で飛ばされてしまった写真を取りに行き、教室に戻るともう白子もいないし教室にはシューマイ1人だった。

自分の席に座り音楽を聴き始めるシューマイ。聴いているサニーデイ・サービスの「真っ赤な太陽」を歌い始めるシューマイ、教室にやってきた将門も加わり2人で「真っ赤な太陽」を歌う。
そして昼休みが終わり、2人は教室を去る。
爽やかな風が吹き抜けていくようなクライマックスに圧倒された。

「校舎、ナイトクルージング」も舞台は学校の教室だが、夜の学校の教室が舞台となる。
「いつだって窓際であたしたち」でも登場した「肝試し」と「心霊写真」がキーワードとなる。楽、朝、将門が幽霊の正体を確かめるために夜の校舎へ忍び込む。そこにいたのは幽霊、とフードを被った謎の女子生徒......深夜ラジオが好きな人にはぜひ「校舎、ナイトクルージング」を観てほしい。確実にグッとくると思う。
「もう一時じゃん!オールナイトニッポン」と深夜ラジオの録画を忘れた事を悔しがる将門を見てあるキャラクターがポツリとこう言う「JUNK」深夜ラジオ好きならば「JUNK派!?」となるシーンなのである。
醸し出す雰囲気が将門はオールナイトニッポンを聴いていてあるキャラクターはJUNK派というのも、どことなく納得出来る。
深夜ラジオ、夜の学校。
ワクワクする組み合わせである。
会話の端々に出てくる「浦沢直樹」「窪塚洋介」「柴咲コウ」「MOTHER2」という絶妙な固有名詞がさらに物語に彩りを加える。
昼休みの教室と夜中の教室が重なるような不思議な世界観に魅了された「校舎、ナイトクルージング」とにかくこの物語も良かった。

ロロのいつ高シリーズが描き出す「青春」がすごく好きだ。

夜の学校といえば、小学生の頃に「夜の体育館でホタルを見る」という学校行事があって、夜の学校の雰囲気にワクワクした記憶がある。誰もいない校庭で友達何人かと喋ったあの夜、なんだか物語的だった。