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FamilyMartってTommy heavenlyとちょっと文字の雰囲気が似てる気がするBlog

何気ない日常、音楽や映画や小説やテレビなどの感想。

2017年のANNR~なぜエル・カブキは太田光は生きていますと言わなかったのか~

ニュースを見る限り、ここ最近の世間では村上春樹小沢健二で話題で持ちきりだったように感じた。

村上春樹が新作小説を小沢健二が新曲を発表したのだ。

村上春樹の小説は高校生の頃に読んだことがある。『回転木馬のデッド・ヒート』『アフターダーク』『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の3作品を読んだ。もちろん、面白くなかったわけではないのだが、そこまでのめり込んだり没頭はしなかった。

村上春樹作品に傾倒していく事は無くて現在もこの3冊以外は読んでいない。

村上春樹の新作は『騎士団長殺し』というらしい。血の滴るような直球タイトルだ。

そういえば昔「マジック・ザ・ギャザリング」のカードゲームで遊んでいたら「殺し」というカードを見つけて「いや直球すぎるだろ名前」と思った事があった。

みんなが村上春樹作品に熱狂する中で俺が最近読んだ本は『騎士団長殺し』よりももっと過激でストレートなタイトル。

著者は樋口毅宏

読んでいたら作品中に「小沢健二」という単語が登場したので驚いた、タイムリー。

小沢健二樋口毅宏の小説を読んでいなければ、俺の中では「スチャダラパーとコラボした人」止まりのイメージでオザケンの曲を聴いていなかったと思う、間違いなく。

 

さて長々と書いてしまったが、自分の中で今1番熱い話題といえば村上春樹でも小沢健二でもなく「エル・カブキのオールナイトニッポンR」である。

何も知らない人からは「誰がわかるんだよ!」と言われそうだが、その「誰がわかるんだよ!」こそマニアックに芸能ネタや時事ネタを笑いで切り込んでいくエル・カブキのエル上田が漫才でよく使う名ツッコミである。

「毎回俺たちのターゲットどこなんだよ!」

というようなエル上田のツッコミが冴え渡る漫才はとにかく絶妙で着眼点が鋭い。

ルパン三世の実写化」についての漫才でボケ役のデロリアン林が「綾野剛」をプロインタビュアー「吉田豪」と言い間違えるネタにはめちゃくちゃ笑った。

そんなエル・カブキの「オールナイトニッポンR」が2月末についにオンエアされた。

開始早々リスナーを「乗組員」と呼ぶデロリアン林に「それキムタクがラジオのリスナー呼ぶ時にしか使わない言い方だから」と間髪入れずにツッコむエル上田。

そしてオープニングトークならぬオープニング漫才がスタート。

赤坂泰彦」「M-1グランプリ2001」を主軸にした漫才は「ノーマークから勝ち上がったダークホース」「ネタをシャウトする漫才界のロックンローラー」などと2001年M-1ファイナリストのキャッチフレーズまで飛び出しニヤニヤしながら笑ってしまった。

漫才は終了しその後のトークで「1番最初にやろうとしたツカミがある」と話し本当は「太田光は生きてます」と言いたかったと打ち明ける。

爆笑問題太田光が「ビートたけしオールナイトニッポン」にビートたけしの代理で出演した際に言った「ビートたけしは死にました」のパロディであろう。

かねてより「爆笑問題好き」を公言していたエル・カブキの二人、このエピソードが爆笑問題へのリスペクトを如実に物語っている気がする。

お笑い界への不平不満や本音をぶちまけていくエル上田の淀みない喋りがとにかく面白かった。

「息もできない!」「消しゴムあんのか頭に」という「もしかして結構映画好き?」と思わせるデロリアン林のツッコミも良かった。

そんな「デロリアン林」によるコーナー「デロリアン林プレゼンツ エル上田を泣かそう」このコーナーは、エル上田にネタのダメ出しや説教をされ泣かされているデロリアン林が、リスナーからエル上田を泣かせるような言葉を募集しエル上田を打ち負かそうとするというもの。

これがまためちゃくちゃ面白かった。

過去の宣材写真の目付きの悪さを指摘されたエル上田は、「90年代80年代のみんなが目付き悪いギラギラしたお笑いの世界に憧れて入った」「ああいう時代に戻したい」と語っていた。

 

そして番組後半では、エル上田が昔よしもとに所属していた一年目の頃にあった「ダイノジ」の「大谷ノブ彦」とのエピソードを話していた。

 

エル上田「ネタがね、受けなかったんだよそのー舞台で。俺も態度悪く地面蹴って、もうウケてたのになんで落とされんだっていう態度でバーって帰っていった、そのあとに俺はもう、すぐ帰っちゃったんだけど、大谷さんが舞台上で、さっきのコたちウケてたじゃないか何で合格じゃないんだって言ってくれたんだって」

 

尖り具合も青臭さも含め、全部がグッとくるエピソードだ。

 

ラジオで語られるこういう芸人のエピソードや本音トークは心の芯まで刺さる。

アイドルがいなくなっても僕らの日常は続く

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

なんて挨拶ももはや上滑りしているかのようだ、だってもう2月も終盤。

2017年になってからもう1ヶ月は経過している。

2016年の12月からブログを更新していなかったのだから仕方ない。

遅すぎる新年の挨拶でブログは幕開け。

 

年末年始に見た映画「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」がすごく良かった。

映画の舞台はスコットランドグラスゴー。のどかな町並みの美しさと雰囲気にまず心奪われる。主人公の「イヴ」を演じる女優「エミリー・ブラウニング」がすごく可愛くてこれまた心奪われた。海外の映画を見ていて「この女優さん可愛いなー」となる事はほとんど無いのだけれど、エミリー・ブラウニングは映画を見終えた後に思わずGoogleで検索してしまった。エミリー・ブラウニング演じる「イヴ」というそのキャラクターも魅力的だった。音楽の才能に秀でていて読書好き、だけれど心に傷を抱えている病気がちな女の子・・・・・・ずるいだろ、そんなキャラクター。

イヴ、ジェームズ、キャシーの三人がバンドを結成するというのが物語の主軸。

爽やかでレトロな雰囲気がたまらなく好きだった。良い映画を見た。

「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」を見た具体的な日付を知りたくて自分のTwitterを遡ったのだけれど何故だか1月の中盤までしかツイートを遡れず諦める。

 

ツイートを遡っていて思い出したのだけれど「冗談手帖」というバラエティ番組に大好きな漫才師「エル・カブキ」が出演したのも新年早々嬉しかった。

漫才師ってやはりカッコいいなとセンターマイクの前で喋りまくし立てるあの姿が好き。エル・カブキの漫才は時事ネタ芸能人ネタをベースにエッジの利いた目線で切り込むマニアックな知識が炸裂する。

爆笑問題浅草キッドを彷彿とさせるような毒舌と切れ味が持ち味。

とにかく面白い。

俺が好きな漫才師はエル・カブキ、金属バット、Aマッソ。

お笑いといえば「R-1ぐらんぷり2017」の決勝進出者が発表された。

うーん、やっぱりヤナギブソン中山功太ヒューマン中村の三人がいないR-1ぐらんぷりは物足りない。

マツモトクラブとルシファー吉岡の技巧派1人コントに期待。

巷で流行中のブルゾンちえみも決勝へ。

ブルゾンちえみのカレーのネタには不覚にも笑ってしまった。

あとネタ序盤にある高い場所の物を取れない時の「取れない」って言ってるブルゾンちえみの後ろ姿がちょっと可愛い。

うーん、でもやっぱりヤナギブソン中山功太ヒューマン中村が決勝にいないのは残念。

 

先日何気なくテレビを見ていたら「甲府UFO事件」という事件が取り上げられていて、気になってしまいネットで色々調べてしまった。

要約すれば子ども二人がUFOを発見し、宇宙人から肩を叩かれたという事件なのだがこの「宇宙人から肩を叩かれた」というのが絶妙だ。

子ども二人がUFOを発見しただけなら特別大きな事件では無いのだろうけれど、宇宙人を目撃しさらに肩を叩かれている。

ローラースケートで遊んでいた、怖くなって近くのお墓に逃げた、ぶどう畑にUFOがあったという細かいディテールもより事件のミステリアス具合を際立たせている。

発見した当時二人が描いた宇宙人のイラストも何とも言えない不気味さを含んでいて怖かった。真相が気になる。

 

2017年2月に私立恵比寿中学のメンバー、松野莉奈さんが亡くなった。

Twitterでこのニュースを知った時、信じられなかった。

私立恵比寿中学の熱烈なファンではない俺だが、昔仕事がしんどくて疲れた時期に聴いた私立恵比寿中学の「未確認中学生X」という曲のPOPさと底知れぬ明るさに救われた時があったので、やはり心が痛くなった。

本屋で何気なく見つけた過去のクイック・ジャパンが「私立恵比寿中学特集号」だった。「どうする、エビ中」と銘打たれたあまりにもタイムリーすぎるその特集。

松野莉奈のインタビューは「これからはもっと自分を解放していきたいな」という言葉で締め括られていた。

きっとこれからは曲の中で彼女は生き続ける。

 

アイドルがいなくなっても僕らの日常は続く。

 

2月23日。休日。

昨日夜更かししてしまったのが原因だろうか昼近くまで眠ってしまった。

用事があるので銀行へ行く。

「角田龍平のオールナイトニッポンPodcast」の過去回を聴きつつ洗濯をする。

 

音楽を聴きつつブログ更新したりパソコンしたり。

ウォークマンをシャッフルモードにして気ままに聴いた音楽はこんな感じ。

 

「愛しさは腐敗につき」 

Dir  en grey

 

「PHANTOM  PLANET」

BEAT CRUSADERS

 

「Boo-Wee Dance」

スチャダラパー

 

「この声」 

高橋優

 

「僕は恐竜」 

THE COLLECTORS

 

「最終列車」

Scoobie  Do

 

「lost in addiction」

OVUM

 

「スウィング#2」

小島麻由美

 

「おれのともだち」  

エレファントカシマシ

 

「濃藍」

LUNKHEAD

 

「FLAVOR FLAVOR」

KEYTALK

 

「ハチとミツ」 

ゆらゆら帝国

 

「Dance Dance Dance」

Mr.Children

 

「海ねこ」

スピッツ

 

「ガラス玉」

L'Arc~en~Ciel

 

「Sweet Soul Music」

nobodyknows+

 

「マイアミネガティブ」 

狐火

 

「Make Some Noizeeeeeeeeeeee!!!!」

The Mirraz

 

「ヴァイナル・ジャンキー」

0,8秒と衝撃。

 

「今を生きて」

ASIAN KUNG-FU GENERATION

 

「Warning!!」

ORANGE RANGE

 

アタックNo.1

GO!GO!7188

 

「Triooo - VOL」

蓮沼執太フィル

 

「Black Rooster

The kills

 

ラムネの飲み方

SKE48teamKⅡ

 

「Raptus」

POLYSICS

 

「イカレテロ OBRIGARRD REMIX(track by OBRIGARRD)」

呂布カルマ

 

「おはようミカ」

毛皮のマリーズ

 

「業放キープローリン」

Jinmenusagi

 

「タンバリア」

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団

 

「ねこ子」

嘘つきバービー

 

「青春番外地」

サザンオールスターズ

 

「Good Old」

KLOOZ

 

「団地の子供」

ザ・クロマニヨンズ

 

裸足の季節

Number Girl

 

「砂漠の向こう(アルバムバージョン)」

小島麻由美

 

「キミシダイ列車」

ONE OK ROCK

 

「LOVER SOUL」

JUDY AND MARY

 

「GO FOR IT」

GOING STEADY

 

「スローなディスコにしてくれ」

サンボマスター

 

「明日へゆけ」

SUPER BUTTER DOG

 

「いたいけな秋」

斉藤和義Feat.Bose

 

サンデーモーニング

くるり

 

「You are the reason」

capsule

 

「チワワちゃん」

曽我部恵一BAND

 

「気が狂いそう」

KING BROTHERS

 

僕ハリガネロックが好きだ、中途半端な気持ちじゃなくて。ユウキロックの『芸人迷子』を読んだ。

高校を卒業し、社会人として働き始めたばかりの頃に、一人暮らしをしている大学生の友達とよく遊んでいた。
電車に乗り、その友達が住む町へと向かう。電車の中でミッシェルガンエレファントの「バードメン」を聴いていたので今でもあの曲を聴くと仙台市から泉市へ向かう電車の景色がふと頭に過る。

一人暮らしをしている友達の家でくだらない話をして笑ったりするのがとてつもなく楽しかった。知らない町に1人で向かい、友達と自由気ままに出かけたり夜まで喋ったりする。友達の友達も呼び何人かで集まって宅飲みをしたりUNOをしたりした、誰かが持ってきたであろう知らない学校の卒業アルバムを見ながら可愛い女子を探したりした、終わらないでほしいくらいに幸せな夜がそこにあった。

友達と別れた帰り道、駅まで歩いている途中で寄ったお店であるDVDを見つけた。
ハリガネロックは前から好きな漫才師だったのだがDVDを出している事は知らなかったので嬉しくなった俺は「ハリガネロック in 渋公爆発ロック」と銘打たれたそのDVDを買って帰った。

M-1グランプリ2016」が放送された余韻がまだ冷めやらないような12月、普段は特別「お笑い」に興味が無いような人も「銀シャリ面白いね」などと話していたんだろう。ワールドカップやWBCが放送された翌日「昨日の日本の試合は白熱した」「あの選手のシュートが良かった」と盛り上がるように「スーパーマラドーナの漫才の構成が上手かった、ラストで予想外のオチがくるのはいい」と話したかったが残念ながら今年のM-1はリアルタイムで見る事が出来なかった。仕事終わりにふと見たTwitterで結果を知った。正直優勝者よりも敗者復活戦でもっと面白い漫才師がいたのにという気持ちが強かった。Aマッソの漫才が決勝の舞台で見たかった。「エル・カブキ、金属バット、ランジャタイがどうして決勝行かないんだ」と思った。
幼い頃からサッカーや野球に興味が無い俺が、こんなにも大会の結果に熱くなるのは「お笑い」だけである。

一番最初のM-1グランプリが放送されたのは2001年。当時は小学校高学年だった俺は放送をリアルタイムで見ていた記憶がある。番組冒頭からとんでもない熱量が画面越しに伝わってきた。お笑いや漫才を熱心に見てきてない俺にすら「すごい大会が始まる」というのがわかった。
第一回目の決勝進出メンバーを見てみれば中川家フットボールアワーキングコングチュートリアルおぎやはぎと現在ではTVで大活躍中の人気コンビが勢ぞろいしている。今思えばフットボールアワー後藤は代名詞ともいえる「高低差ありすぎて耳キーンてなるわ」などの例えツッコミをしていないし、キングコング西野は絵本を描いたりしていない、チュートリアル徳井の妄想っぷりは影を潜めていたし、おぎやはぎは今ほど知名度の高い感じでは無かった気がする。お笑いブーム前夜の雰囲気の中、TVのゴールデンタイムで全国区の番組でネタを披露出来る、夢のような大会がそこにはあった。

「疲れてる場合ちゃうぞ!」
黒い革ジャン、胸にはドクロマーク、ウォレットチェーン。漫才師とは思えぬパンクな出で立ちの男は漫才の始めに客席に向かってそう言い放った。生放送の長丁場、最後に出てきた漫才師がハリガネロックだった。淀みないユウキロックの喋りのスピードと面白さに圧倒された。切れ味鋭いその漫才はまさにロックだった。ロックを聴く前にハリガネロックの漫才でロックを知ってしまった。
俺のロックの原体験はNIRVANAでもなければミッシェルガンエレファントでもなくブルーハーツでもなかった、一番最初はハリガネロックだった。

2004年、お笑い史における何度目かの「お笑いブーム」が直撃した時、俺は中学生だった。ネタ番組をビデオに録画したりと中学生という多感な時期に「お笑い」にすっかり魅了されていた。そんな2004年のM-1グランプリが強烈だった。南海キャンディーズトータルテンボスPOISON GIRL BAND東京ダイナマイトが初の決勝進出を果たし、それまでには無かった新たなる風が吹き荒れていた。あの年以降、M-1グランプリを熱心に見るようになりさらに「お笑い好き」の気持ちを高ぶらせていった。スポーツが苦手でプロ野球サッカーワールドカップを観る事に一切興味無かった俺が唯一熱くハマったものが「M-1」だった。

しかし2004年以降、ハリガネロックM-1グランプリの決勝の舞台にはいなかった。

ハリガネロック in 渋公爆発ロック」を観たあの日「あぁ、やっぱり俺はハリガネロックの漫才が大好きなんだな」と心底思った。
漫才師のあのシルエットのカッコ良さは何なんだろうか、センターマイクの前に立つ漫才師のあの佇まいに憧れた。
舞台に立ち、喋り、爆笑を掻っさらう。
とにかくカッコ良かった。

不平不満や本音を言うのが苦手な俺が、キレキレの口調で世間の風潮や道行くカップルにまで漫才中に「ボヤキ」を炸裂させるユウキロックのストレートな芯の強さに憧れたのかもしれない。

人生で一度だけ、漫才をしたことがある。

社会人として働き始めたばかりの頃、夜に友達何人かでカラオケに行った事があった。その時に「一発ギャグ大会をしよう」というようなノリになったのだ。
「一発ギャグ大会」と言うのに「ピストルのおもちゃが入ったおもちゃ会社の営業マンの持つカバンと本物のピストルが入った殺し屋のカバンが入れ替わる」という一人ショートコントを演じた俺がキンキンにスベッた事はさておき、その場のノリで友達と漫才をすることになった。

憧れの漫才が出来る。

テンションが上昇した。

真夜中のカラオケボックス、見えないセンターマイクに向かって俺は喋りまくった。「真夏にプールにいったらブサイクばかりでね」と柄にもなく毒舌をぼやいたのは、きっと俺の「笑いの血」にハリガネロックの漫才が脈々と流れているからかもしれない。

漫才をした。

嬉しくて仕方がなかった。

あの日俺は一瞬だけ「ユウキロック」に「漫才師」になれた気がした。

2014年、ハリガネロックは解散した。

「嘘だろ」と思わず呟いてしまった。
大好きで憧れに憧れた漫才師が解散した。
そして漫才師「浅草キッド」の水道橋博士を筆頭に名だたる著名人が連載しているメルマガ「博士のメルマ旬報」でユウキロックの連載が始まった。
「芸人迷子」というタイトルのその連載には漫才師だったユウキロックが全身全霊を注ぎ、赤裸々に、裸どころか体内の血管や骨すらもさらけ出すぐらいの勢いで漫才師としての生き様と終わりがそこに書き連ねてあった。

伝説になった2005年のM-1グランプリブラックマヨネーズの漫才の衝撃、漫才とは何か漫才師とは何かお笑いコンビとは何か、その問いに血眼になりながら冷静に答えていくユウキロックの姿を想像してしまった。

連載が開始した頃からずっと「書籍化してほしいな」と願っていた。
2016年に願いは叶った。
ユウキロックの「芸人迷子」が書籍化された。

嬉しくて仕方なかった。

「芸人迷子」を読んだ。ページをめくる度にユウキロックの告白はより濃さを増し白熱していく。
漫才師としての生き様が深く深く刻まれていく。

最後の方に綴られていた千原ジュニア
のエピソードには特に胸を貫かれた。
俺がユウキロックと同じくらに、いやそれ以上に憧れに憧れているのが千原ジュニアだ。
その章に書いてある「ジュニアさんの一言一言が今でも俺の指針になっている。」という一文に激しく頷いた。
千原ジュニアの著書や「チハラトーク」のDVDに多大なる影響を受け指針にしていた俺だからだ。

久々にミッシェルガンエレファントの「バードメン」が聴きたくなった。

「イナズマを呼んできてほしいと言え」とチバユウスケは歌う。がなる。

チバのがなり、ユウキロックのぼやき、絶望も暗闇も切り裂いてくれるのはロックとお笑いだと俺は思う。




ロロ いつ高シリーズ「いつだって窓際であたしたち」「校舎、ナイトクルージング」を観た。

「ロロ」の作品「いつだって窓際であたしたち」と「校舎、ナイトクルージング」がYouTubeにて期間限定で公開中らしく、前々から気になっていた作品なのでワクワクしながら観た。

「ロロが高校生に捧げる新シリーズ」と銘打たれてある様に高校演劇のフォーマットで繰り広げられる本作は高校が舞台の青春劇である。

映画でも音楽でも物語でも、青春がテーマになっている作品が特に好きな俺なのだがこのロロの演劇「いつだって窓際であたしたち」と「校舎、ナイトクルージング」は生涯ベスト級に好きな作品なのかもしれない。

「いつだって窓際であたしたち」の舞台は昼休みの教室が舞台。
カーテンに包まり噂話を始める女子二人組。自分の席で弁当を食べようとした男子、通称「シューマイ」が席から離れた瞬間に、教室に来た謎の黒髪の女子生徒が席に座ってしまう。
居場所が無くなってしまった「シューマイ」は困惑しながらも自分の席の後ろの席に座る事にした。
席の机の上にはヘアワックスが置いてある。「ナカノの4番」である、青いケースの。個人的な意見だが高校生の頃はカッコいい男子やオシャレな男子はほとんどの奴がこの「ナカノの4番」を使っていた記憶がある。

噂話をしていた二人組が「旅先から海荷が帰ってこない」とある女子生徒の事を話し始める。そして教室にやってきた謎の黒髪の女子を発見し今度は「いつも窓の外を眺めている自殺未遂の女の子らしい」とウソか本当かわからない噂話を始める。

教室に男子生徒が入ってくる。
シューマイの後ろの席の「将門」である。将門は少年ジャンプを手に取り「全然再開しないよね、冨樫」とシューマイに話す。
連載と休載を繰り返しながらも根強い人気を誇る冨樫義博の代表作『ハンターハンター』の事である。
噂話をしていた女の子とも、将門はくだけた口調で話し「スカート短くない?」と嫌味なく笑う。
そして冨樫義博のもう一つの代表作『幽遊白書』のアニメ主題歌「微笑みの爆弾」のサビをさらりと歌う。

登場した瞬間から存在感を放っている将門に1人の女子生徒が写真を渡しにくる。「6組って入りづらいんだよね」とぼやく彼女こそが将門の幼なじみ「朝」である。
受け取った写真を見た将門と朝が「ここじゃん教室!」「これ将門の席」と何やら騒ぎ始める。

将門「学校の怪談見た事ある?」
朝「アニメ?」
将門「もあったけど映画映画」
朝「アニメあったよね」
将門「あったあった、パンチラシーンすげぇあった!」

このさりげない将門と朝の会話のやり取りがすごく好きだった。

写真をどこから撮ったのか確かめ始めた将門は、校庭を走る1人の男子生徒に気付く。
走っている生徒とは、よく一緒のバスで前後の席になる将門は、いつも彼が読む漫画を後ろの席から盗み読んでいるのだが、自分が読むタイミングと男子生徒がページをめくるタイミングが同じだと話す。
「聞いてくるわ、名前!」と言って教室を飛び出す将門。そこで「今日いいの?楽と肝試し」と朝が問いかける。これが「校舎、ナイトクルージング」へとも繋がってくる。

「男子生徒の名前は太郎」
「海荷と太郎が付き合っていたが一カ月前に別れた」
「別れてから海荷は旅に出て、太郎は走り始めた」
噂話をする二人組と朝のさりげない会話から発覚していく出来事、物語が動き出す感覚が心地良い。

教室には黒髪の女子生徒、朝、シューマイの三人。ここで朝と、教室の窓から校庭を見ていた黒髪の女子生徒が会話する。

黒髪の女子生徒の名前は白子、白子が机に置いているジオラマについて朝が尋ねると「机の上にギュッて、世界敷き詰めてる」と答える。
その後に白子と朝による英語の授業にも似たやり取りがあるのだがそれがすごく面白かった。白子の「キーックキーックほろびろ!」というセリフが特に。

校庭に向かって「ウソだ!さよならなんてウソだ!」と叫ぶ白子。
まさかの「前田亜季が出演していた南アルプス天然水のCM」からのサンプリングである。将門に呼ばれた朝が校庭へ行き、教室にはシューマイと白子の2人だけになる。

太郎が走っている事と白子が校庭の太郎を見ている理由がわかり、物語はクライマックスへと疾走していく。

昼休みが終わりに近付くにつれ、物語は終わりに向かっていく。噂話をしていた二人組も、将門も。

シューマイが、風で飛ばされてしまった写真を取りに行き、教室に戻るともう白子もいないし教室にはシューマイ1人だった。

自分の席に座り音楽を聴き始めるシューマイ。聴いているサニーデイ・サービスの「真っ赤な太陽」を歌い始めるシューマイ、教室にやってきた将門も加わり2人で「真っ赤な太陽」を歌う。
そして昼休みが終わり、2人は教室を去る。
爽やかな風が吹き抜けていくようなクライマックスに圧倒された。

「校舎、ナイトクルージング」も舞台は学校の教室だが、夜の学校の教室が舞台となる。
「いつだって窓際であたしたち」でも登場した「肝試し」と「心霊写真」がキーワードとなる。楽、朝、将門が幽霊の正体を確かめるために夜の校舎へ忍び込む。そこにいたのは幽霊、とフードを被った謎の女子生徒......深夜ラジオが好きな人にはぜひ「校舎、ナイトクルージング」を観てほしい。確実にグッとくると思う。
「もう一時じゃん!オールナイトニッポン」と深夜ラジオの録画を忘れた事を悔しがる将門を見てあるキャラクターがポツリとこう言う「JUNK」深夜ラジオ好きならば「JUNK派!?」となるシーンなのである。
醸し出す雰囲気が将門はオールナイトニッポンを聴いていてあるキャラクターはJUNK派というのも、どことなく納得出来る。
深夜ラジオ、夜の学校。
ワクワクする組み合わせである。
会話の端々に出てくる「浦沢直樹」「窪塚洋介」「柴咲コウ」「MOTHER2」という絶妙な固有名詞がさらに物語に彩りを加える。
昼休みの教室と夜中の教室が重なるような不思議な世界観に魅了された「校舎、ナイトクルージング」とにかくこの物語も良かった。

ロロのいつ高シリーズが描き出す「青春」がすごく好きだ。

夜の学校といえば、小学生の頃に「夜の体育館でホタルを見る」という学校行事があって、夜の学校の雰囲気にワクワクした記憶がある。誰もいない校庭で友達何人かと喋ったあの夜、なんだか物語的だった。



Seventh Heaven

久々にブログ更新。
気が付けばもう10月も終わってしまった。
ハロウィンの熱狂っぷりを伝えるニュースを見ると「あぁもう10月も終わるんだな」と実感してしまう。
ハロウィンの熱狂っぷりについては、あれはやはり「東京」の「渋谷」という場所だからこそ生まれるものなんだと思う。東京という都会の中心だからこそ渦巻く熱狂というか。
人が大勢いるあの場所だからこそ起こりうる熱狂なんだろうなと思う。
昔、渋谷に行った事があるけれど頭に紙袋を被った三人組が路上ライブをしていた、ハロウィンではないのに。
あの三人組は今でも路上ライブをしているのだろうか、謎だ。

「東京」といえば先日見た「ミュージック・ポートレイト」という番組で「くるり」の岸田繁と「ピース」の又吉直樹が対談していた。
「自分の人生で大切な10曲」を選び対談するこの番組。
DAIGOと鬼龍院翔浦沢直樹小室哲哉桂文枝千原ジュニアなど毎回毎回対談の組み合わせがかなり豪華。
くるり」の音楽と又吉直樹の書く文章が大好きな俺なので興味深い内容だった。
くるり」の代表曲「東京」に関するエピソードを聞いたら久々に「東京」を聴きたくなった。
又吉直樹といえば小説『火花』は言わずもがな最高傑作なのだが、かつて「ラフブロ」で公開していたブログもすごく面白くて何度も読み返していた。

最近よく聴いてる曲は「Seventh Heaven」L'Arc-en-Cielのこの曲をPOLYSICSがカバーしたバージョンがあるのだがこのカバーが最高で最近は何回も聴いてる。
L'Arc-en-Cielのトリビュートアルバムがある事は知っていたけれどPOLYSICSが参加していたとは知らなかったので「ラルクPOLYSICS!?」と驚いた。
先日、高校生の頃からの友達と久々にカラオケに行った時にL'Arc-en-Cielの「Seventh Heaven」を歌ってしまうくらいにハマってしまった。

L'Arc-en-Cielといえば「アメトーーク」でたまに狩野英孝が言う「ラルク芸人」はいつの日にか実現するのだろうか。
アメトーーク」といえば先日放送された「東野幸治presentsスゴイんだぞ!西野さん」は最高だった。
俺は西野亮廣のファンである。
かつて「ラフブロ」で公開されていたブログ「西野公論」を読み耽っていたし、何年も前になるが「KING KONG LIVE」を観に行った際、ライブの後に西野亮廣の小説『グッド・コマーシャル』にサインをして頂いた事もある。
西野亮廣独演会」のDVDはもう何度見た事だろうか。
そんな大ファンの俺もめちゃめちゃ笑ってしまうくらいに神回だった。

ウォークマンをシャッフルモードにして音楽を聴きつつ、ブログを更新した。
聴いた音楽はこちら。

「Seventh Heaven」

「オー・シャンゼリゼ
奇妙礼太郎トラベルスイング楽団

「Sweet & Sweet」

「賛歌」
爆弾ジョニー

「Undone(The Sweater Song)」

「Good-Bye Myself」

「LIFE IS ONE TIME」
TKda黒ぶち

「朝の歌」


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ハライチのターン!を聴いた 。「じゃないほう芸人」で一番面白いのはハライチ岩井勇気だと思う。相方のノリボケに「名前をつけてやる」ようなセンス

TBSラジオで、この秋からアルコ&ピース、うしろシティ、ハライチのお笑い芸人三組がそれぞれ新しいラジオ番組を始める。

深夜ラジオが大好きな俺にとっては衝撃的なニュースだった。

ハライチ単独のラジオ番組が始まる。

かつてハライチがうしろシティと二組でやっていたラジオ番組「デブッタンテ」はとにかく面白かった。
密かに「ハライチ単独でラジオ番組始まらないかな」と思っていたので「アルコ&ピース D.C.GARAGE」「うしろシティ 星のギガボディ」も楽しみだったが一番楽しみだったのは「ハライチのターン!」だった。

雑誌『新 お笑いラジオの時間』ラジオで活きる「じゃない方芸人」大特集!と銘打たれたこの一冊にハライチの岩井勇気のインタビューが載っている。
「ハライチ面白いよね」というと多分、数多大勢の人たちがバラエティ番組での活躍も目立つ「澤部」の方を思い浮かべるだろう、もちろん「澤部」も面白い、面白いのだけど相方「岩井勇気」も面白いのだ。
ハライチの代名詞ネタ「ノリボケ漫才」で「○○なヤーツ」という無茶なノリボケを全力でやる澤部の隣りでクールに笑う岩井が、いや、岩井も実は面白いのだ。

『新 お笑いラジオの時間』は何度も読み返しているのだが、個人的に一番読み返している記事は間違いなく岩井勇気のインタビューだ。

インタビューで岩井は、中学生ぐらいの頃から深夜ラジオを聴いていた相方とは対照的にほとんど深夜ラジオを聴いてこなかったと話している。
そんな深夜ラジオを聴かずに過ごし深夜ラジオの影響下にいない岩井が、深夜ラジオで話すエピソードトークは独特でどれも面白い。
デブッタンテうしろシティ金子、うしろシティ阿諏訪、ハライチ澤部が話すエピソードトークもどれも面白かったのだが、俺は毎回毎回ハライチ岩井のエピソードトークを楽しみにしていた。
「ハチミツを買いに行く」「たまごっち」「カーナビ」岩井独自の感性とフィルターを通した瞬間に面白さが倍増する。
予測不能の展開が待っていたりする不意打ちのような独特なフォームのエピソードトークの数々に俺は何度も笑ってしまった。

ラジオや雑誌でよくロックバンド「スピッツ」のファンだと公言している岩井、たしかに「デブッタンテ」でも何度かスピッツの曲を流していた。

俺もスピッツの曲が大好きなのですごく嬉しい。

「ハライチのターン!」内でリスナーからのメールで「影響を受けたお笑い芸人は誰ですか?」という質問が来てノリノリで答えようとする澤部を止めようとしたり、影響を受けたお笑い芸人を答えようとせず口ごもり澤部から「ダメだこいつマジで」と苦笑い気味の口調で言われてしまう、深夜ラジオのレールにノリたがらない『放浪カモメはどこまでも』自由だ。
まだまだ謎な部分を残しつつも、独自のエピソードトークを話し続ける、もっと二人のトークを『聞かせてよ』と思う。このラジオ『エンドロールには早すぎる』しずっと続いてほしいと思っているし続くのだろう。

ハライチのラジオと出会った奇跡がこの胸にあふれてる 深夜ラジオ特有のノリを岩井が拒んでもずっとそばで笑っていてほしい。

「好きな芸人言え!」
「言わねぇよバカ!」

面白すぎる二人のトークが『夜を駆ける』
スピッツの『運命の人』の歌い出し バスの揺れ方で人生の意味が解った日曜日、人生の意味は解らないけど、バスの揺れ方ではなく二人の話し方で退屈な夜はずっと面白くなる事が解った木曜日。
毎週木曜「ハライチのターン」が楽しみな日々だ。

映画「何者」を観た。俺ら、何者にもなれないってよ。

「俺が朝井リョウの小説『何者』を読んだのはいつだっただろうか」そう思い、mixiの日記に書いていたはずなので見てみた。
日記によれば、朝井リョウの小説『何者』を読んだのは2012年の12月10日らしい。
物語の面白さとスリルに打ちのめされて一気に最後まで読んだ事を覚えている。
久々にログインしたmixi、それこそ2012年ぐらいまでは中学や高校の同級生の「つぶやき」があったりしたがもう中学や高校の同級生たちの姿はmixi上には無かった。
mixiを離れ、みんな多分Facebookに移ったのだろうと思う、そこにはmixiのフレンドリーなニックネームで呼び合う雰囲気は無く、本名で日々を投稿している。
数年前の自分の日記やつぶやきを読み返したらコメント欄に「退会したユーザー」の文字が並ぶ、まるでもう誰もいなくなった惑星に一人不時着したような孤独感すら感じる。
ある日の日記のタイトルが「さっき塩タンタン麺と入力しようと思ったら、間違えて塩タイタン麺になっていて焦ったのは内緒だよ。」で我ながら「くだらねー」と苦笑いしてしまった。
ちなみに遡って読んでみると、その日記を書いた何日か前に朝井リョウの小説『もう一度生まれる』を読んでいた事がわかった。
さらにその少し前に「朝井リョウさん直木賞受賞おめでとうございます」というタイトルの日記があった。2013年に直木賞受賞作となった『何者』は2016年に映画化する。
あの頃の俺に言ったらどんなリアクションするだろうか「レンタルビデオ屋さんに迷い込んできた野良犬がマドンナのMVをジッと見ていたのを目撃したことがある」だなんて事をmixiの日記に書いていた俺に。
もっとmixiを遡れば、もしかしたら『人間失格 三浦大輔戯曲集』を読んだ事が書いてあるかもしれないと思ったけれど、5、6年前の自分の日記を読み返し続ける作業は疲れるし気恥ずかしさもある、それに古傷をえぐるような内容と正面衝突したり、堰を切ったように懐かしさがあふれそうになりそうなのでやめておいた。

三浦大輔の戯曲集も読んだことがあるし、昔クリスマスイヴの夜に一人で三浦大輔作演出の作品「裏切りの街」のDVDを観た事もある。その物語内で描かれるリアルさと絶望っぷりに衝撃を受けた。

朝井リョウの小説『何者』を三浦大輔が監督脚本で映画化、活字で紡がれたあの絶望っぷりが三浦大輔によって実写化される、ワクワクが止まらなかった。

映画『何者』の主演は佐藤健有村架純二階堂ふみ菅田将暉岡田将生山田孝之の6人。
人気女優俳優の勢揃いの顔ぶれを見て「就活をする大学生の青春譚」とだけ思い「甘酸っぱい恋愛があるのかなー?佐藤健イケメン、有村架純可愛い!」なんてほんわか思っている少年少女たちに夢を一切見せない容赦なきシビアな世界。青春時代真っ只中を抜け「そろそろ進路を考えた方がよくね?」と思っている若者たちが見たらなかなかに心に刺さるものがあると思う。

宅飲み、ルームシェア、手作り豚キムチ、オシャレな店でアルバイトなどの描写、みんなで部屋に集まり就活の対策を練るあの感じ、就職しやがて訪れる青春
の終わりの前夜祭のような賑やかさとは裏腹に就職のシビアな現実も描かれていく。
物語の主人公は全員大学生、高校卒業してすぐに働き始めたので大学には行っていない俺ですら高校中の就職活動の気まずさを思い出してしまう程だった。
履歴書を書く度に武器の少ない己のステータスを目の当たりにしているようで苦しかった事、電車に揺られ見ず知らずの町に行き就職試験を受けに行くのはすごく不安だった事、「働く」と決心した俺宛に送られてくる専門学校のパンフレットを「働くと決めたのに送ってくんなよ、学校」と不条理な怒りが込み上げた事。

そんな高校生の頃にTwitterをやっていたらどうなっていただろうか。

映画でも原作小説でも「何者」の物語においてTwitterは重要なツールとなっている。
俺は高校生の頃にTwitterはやっていなかったが、アメーバブログはやっていた。ブログ名は「serial real」訳せば「ひと続きの現実」今思ってみれば思春期をこじらせた痛々しいタイトルである。

こんなタイトルをつけてしまうのだから「何者」に登場する「烏丸ギンジ」の存在は直視するのがちょっとキツかった。「激団 毒とビスケット」を主催し演劇の世界で活動している人物だ。
劇団ではなく「激団」と称している辺りがなんか、もう、なのである。

菅田将暉演じる「神谷光太郎」がボーカルギターのバンド「OVERMUSIC」このバンド名もなかなか、こう、ニヤニヤしてしまうものがある。
OVERMUSICの解散ライブの日、会場で佐藤健演じる二宮拓人とは有村架純演じる田名部瑞月と再会する。
解散後、明るかった髪色を黒に染め就活すると拓人に話す光太郎。
映画「何者」の物語は就活を軸に動き出し、瑞月の友達二階堂ふみ演じる理香と意気投合し四人は就活へと打ち込んでいく。
そんな四人へ「就活はしない」と話す、理香と同棲中の岡田将生演じる隆良、このキャラクターが絶妙だった。
自転車、飲んでるビール、クラッチバッグ、丸メガネ、本、服!「こういう人、いる!」感がたまらない。オシャレ極めまくりのあの感じ。クリエイター系男子隆良と拓人のバイト先の先輩である、山田孝之演じるサワ先輩が物語に絶妙なスパイスをふりまく。
そしてかつては二宮拓人と演劇活動をしていた烏丸ギンジも物語のキーパーソンとなっていく。
就職先が決まらず苦悩する拓人、一方の烏丸ギンジは演劇活動を続けている。
自分が熱中したもの好きなものを糧に表現者として生きるギンジ、誰もが青春時代に憧れてしまうシチュエーションである。

気がつけばいつのまにか増えたSNS、「何者」の物語では特にTwitterが鍵となる。
この「Twitterというツールを物語に落とし込む感じ」が心地良かった。
拓人のTwitterのアイコンの写真とアカウント名、隆良のTwitterのアイコン写真「いる!こういうアカウント!感」も面白い。
それぞれの登場人物のTwitterの作り込み具合、そしてTwitterの頻度もいい、拓人は常にスマホを気にしているが光太郎や瑞月はあまりそういう描写がない。拓人が光太郎と瑞月へ、隆良と理香のツイートを見せ「何で直接話さないんだろうね」というようなセリフをしゃべるシーンがあるのだが、あのセリフ後の光太郎と瑞月の気まずい沈黙、なんだろうかあのリアルな感じは。

ギンジのTwitter、隆良のTwitterそして理香のTwitterもチェックしている拓人、常にクールで「分析系」の拓人には誰にも知られたくないもう一つの顔、いやTwitterアカウントがある。
劇中で拓人の吐くタバコの煙のように、まとわりつく全てを煙に巻いて呼吸し続けることは実は息苦しい、天真爛漫な光太郎と純粋無垢な瑞月の存在が冷静に分析する事で自分を守っているつもりの拓人にはきっと眩しく感じるのではないかと思う。

何気ない爽やかな青春群像劇と思いきや、自意識や人間の妬みや嫉み、痛みが混じり合う苦い青春。
巷に流行する甘酸っぱく胸きゅんな恋愛青春映画に「リアルと思い通りにならない絶望」という鉄槌を振り下ろすかのような作品である。

意識高い系と揶揄され就活活動に打ち込む理香、ネットで辛口評価を受けながらも演劇を続ける烏丸ギンジ、内定を得た光太郎と瑞月、誰の生き方もきっと大変なのだ。現実はドラマチックにはいかない。

映画「何者」は、後半あるシーンを境に物語が豹変する。まるで物語のベールが取られ、三浦大輔演劇のメソッドが脈々と流れる物語の心臓を見せられたかのようなハッとする瞬間だった。

青春時代の終わらせ方をわからない拓人の孤独が胸に残る。

きっとこんなブログも「映画 何者 拓人」でエゴサーチした拓人から暗い部屋で読まれて冷笑されるのだろう。