いいともは終わるが僕らの日常は続く
テレビ番組「笑っていいとも!」が終わり数日が過ぎた。
「笑っていいとも!グランドフィナーレ」の、あのまばゆい輝きがまだまぶたの裏に残っているような印象がある。お笑い界の巨星が「いいとも終了」というテレビ界のビッグバンに引き寄せられ、奇跡的な集合を遂げたのだから。
3月31日。テレビの前。オープニングのタモリの歌声で感傷的な気持ちになりつつも「いいとも特番を見る」という気持ちとさほど変わらぬ気持ちで、俺はグランドフィナーレを見始めた。
明石家さんまとタモリのトークに笑いつつフラットな気持ちで見ていたら、スタジオにいきなりダウンタウンとウッチャンナンチャンが乱入。まさかの出来事に、テレビの前で「えーっ」と言う俺。もうフラットな気持ちでなどいられない。
さらにその後、爆笑問題、とんねるず、ナインティナインも乱入。お笑い界の巨星集うである。お笑い界という広大な宇宙で輝いている星が集い、今まで見たこともなかったお笑いの星座が画面にあった。奇跡だと思った。
その後のスピーチも印象的だった。特に爆笑問題の太田光のスピーチ。普段ふざけたり、おどけたりする事が多い太田光さんが、茶目っ気を出しつつも真剣な語り口で淡々と語りだすあの瞬間、心にグッとくる感動がある。普段は、チャンバラするかのようにオモチャの刀を振り回していた太田さんが、チャンバラをやめて鞘からスーッと名刀を引き抜いて構えたかのような雰囲気。太田光はお笑い界の侍だと思う。
そして千原ジュニアのスピーチも巧みだ。
スピーチの中に、面白いエピソードを長すぎず短すぎず調度よく織り交ぜていく。
エピソードという名のレコードを次々に駆使するその姿はさながらDJの如く。やはり、千原ジュニアの話術、エピソードトークは大好きだ。
笑っていいともグランドフィナーレ。やはり俺がピックアップしたいのは、冒頭のお笑いスターの集合なのだ。テレビを見ていてあれほどテンションが上がる事なんておそらく今まで無かっただろうし、この先あるかなんて見当がつかない。
そもそも「笑っていいとも!」は日曜日の増刊号をよく見ていて、本放送は、時折仕事中の休憩時間に何となく見る程度だった。
しかし、いいともは面白かった。
笑っていいとも!は、テレビ界にまばゆい光を残し、消えた。
グランドフィナーレを終えて、ポカリと心に穴が開いた気分だ。
こんな気分は、ゆらゆら帝国の解散以来かもしれない。
いいとも!が抜けた今、テレビ界は空洞です。
それでも、日常は、続く。