FamilyMartってTommy heavenlyとちょっと文字の雰囲気が似てる気がするBlog

何気ない日常、音楽や映画や小説やテレビなどの感想。

狂犬は吠えるがめちゃイケは進む

「当たり前じゃねぇからなこの状況!」


仕事から帰ってきたばかりの疲れた身体に、リビングのテレビの画面から聞こえてきた加藤浩次の叫びが反響するようだった。
「あ、そうか今日のめちゃイケは」と思い途中から見始める。
「10年前に芸能界から消えた加藤浩次の元相方は今」「極楽とんぼ10年ぶりの共演」そんなテロップが画面上に並んでいる。めちゃイケ極楽とんぼの山本が復活する事は知っていたが、知っていたけれどもやはり目の当たりにすると、信じられなかった。

「これ逃したらもうなんにもねぇんだよ俺ら!」

加藤浩次が叫び、ダン!とボクシングのリングを見立てたセットの床を踏む。
リングの中には極楽とんぼの二人が対峙している。加藤と山本。10年ぶりにめちゃイケ極楽とんぼが舞い戻ってきた。

山本が何故テレビに出る事が出来なかったか、何をしたのか、不祥事についてはこのネット社会調べるのには容易いだろう。当時ニュースで報道された時はショックを隠せなかった。
子どもの頃は極楽とんぼがMCをしていた「天才てれびくんワイド」を毎週楽しみに観ていたし、何よりもやはり「めちゃイケ」である。

おそらく中学生の頃だろう。初めて「めちゃイケ」を観てそのあまりの面白さに打ちのめされ、毎週毎週土曜日が楽しみになっていった。
PTAが物議を醸したコーナー「しりとり侍」内での「プリソ」の一言だけで心底笑った、「ハイドロプレーニング現象」という言葉はきっと「数取団」を観ていなければ一生知ることはなかっただろう。「山奥」「スモウライダー」あの頃のめちゃイケには、俺がテレビの前でゲラゲラ笑っていためちゃイケには、まだ山本がいた、極楽とんぼがいた。

山本の不祥事、翌朝のニュース番組での加藤浩次の号泣。狂犬と呼ばれた芸人、加藤浩次の涙。
今まで観ためちゃイケの中で一番笑ったのはやっぱり加藤浩次。「フジテレビ警察24時」のコーナーで、突如テレビ局内に出現したダースベーダーダースベーダーが持つライトセーバーを奪い、そのライトセーバーを膝折りした加藤浩次だった。心底笑った。
あの頃、ニュースで報道される度に「めちゃイケ」が好きで「めちゃイケ」で育った俺は複雑な気持ちになった。

10年ぶりの共演のスタジオには、山本を慕う山本軍団も集まっていた。その芸人たちの中にロンドンブーツ1号2号の田村淳がいた。歯に衣着せぬ痛快な本音トークがトレードマークの田村淳が泣いていた。

山本を好きだと慕うことはこの仕事をする上でリスクしかないと話す加藤浩次、彼が山本に向かって放った「淳なんかそれで何人敵作ったんだよ!」この言葉で加藤浩次の本気を確信した。
テレビだから、めちゃイケだから、関係無い。加藤浩次は容赦しない。本気で山本と対峙している。

その後、極楽とんぼは謝罪し、徐々にいつもの「めちゃイケ」の雰囲気に戻りつつあった、そのタイミングで極楽とんぼの真骨頂「ケンカコント」が始まる。セットにぶつかり倒れる山本。10年ぶりのケンカコント、そこにエレファントカシマシの宮本の歌声がかぶさる。「さぁ頑張ろうぜ」と。

「お前のことな、いくら蹴っても苦情なんてこないんだよ!」

加藤浩次が渾身の一言を叫ぶ。

極楽とんぼとは唯一無二の二人組だったのだ。
彼らのケンカはどこかチープで漫画的だ、だからこそ笑えてしまうのだ。

「お前の輝きはいつだって俺の宝物」とエレファントカシマシ宮本が歌う。

山本の面白さが輝くからこそ狂犬加藤浩次の咆哮が際立つ。

二人の芸人の吠え魂が日本中に響き渡った夜だった。

山本が起こした不祥事を擁護・肯定するつもりは微塵も無い。

ただ俺は言いたいだけ「極楽とんぼは面白い」と言いたいだけだ。





森達也 FAKE を見た

白状しよう、高校生の頃、一度だけゴーストライターをした事がある。

夏休みが終わって2学期が始まる初日に、読書感想文をまだ書いていないという友達から「お前感想文とか得意だろ?ちょっと書いてくれ」と頼まれたので、よく読んでいたがまだ感想文は書いていなかった本を題材にしルーズリーフに感想を書いて渡したのだ。

あの騒動に比べれば、同じゴーストライターといえど天と地の差だ。

あの騒動。時は流れ2014年、この年ほど「ゴーストライター」という単語がテレビやネットで繰り返し言われた年があっただろうか。
と同時に「佐村河内守」「新垣隆」という人物名も飛び交う事になる。
ちなみにその年に開催された漫才の賞レース番組内に出場したあるお笑い芸人が披露した早押しクイズの漫才中にも「佐村河内」という単語が使われるぐらいだったから、世間への名前及び騒動の浸透率は計り知れない。

聴覚障害をもちながらも様々な優れた音楽作品を世間に発表してきた天才音楽家佐村河内守、しかし音楽家の新垣隆が沈黙を破り、佐村河内ではなく自分が作曲していたことや実は耳は聞こえていたことなどを週刊誌に告白した、一連の騒動の内容は概ねこんな内容である。
真実なのか嘘なのか、連日報道し白熱していたこの騒動も、日を重ねるにつれて徐々に落ち着き、2016年現在では「そんな事件もあったねー」と懐かしむような感想がほとんどなのではないだろうか。

そんな2016年、人々の記憶の中から事件が抹消されるかされないかの際どいタイミングで、佐村河内守のドキュメンタリー映画が公開される。

タイトルは「FAKE」監督は森達也

直球すぎるタイトルにやや面食らいながらもやはり気になった。
達也という人物は名前は知っていたが作品は見たことが無かった。
だけれどいつしか作品を見てみたいと思っていた監督だったのだ良いタイミングだった。

俺が人生で初めて見た森達也の映画作品は「FAKE」だ。

ほとんどのシーンがマンションの一室であり、出てくる登場人物は極端にシンプル、佐村河内守、彼の妻、森達也、猫である。
壮大な大高原や大海原は出てこない、手に汗にぎるアクションシーンは出てこない、ときめくような甘酸っぱい恋愛は出てこない、今をときめく豪華キャスト陣は勢揃いしていない。
大衆向けの娯楽映画とは極北の位置にあるようなこの「FAKE」というドキュメンタリー映画、しかしながらその生々しさと唯一無二の存在感に上映中はずっと釘付けだった。「ありのままの姿見せるのよ」大ヒットディズニー映画主題歌のあのキラーフレーズが脳内でリフレインする。

レコード大賞にてゴールデンボンバーが新垣隆とコラボして「ローラの傷だらけ」を演奏している映像を見る佐村河内守、あのシーンはすごく衝撃的だったし、どこか笑ってはいけないけれど笑ってしまう瞬間だった。
正直「見るんだ!?」と思ってしまった。
ゴールデンボンバーの「ローラの傷だらけ」は好きな曲なので、俺もあの映像を見た事はあるのだけれど、派手なエレキギターを弾きながら新垣隆が登場する瞬間は何度見ても笑ってしまう。

佐村河内騒動をまとめた著書がノンフィクション大賞を受賞した神山典士、その受賞式のプレゼンターに選ばれた森達也が「今佐村河内さんのドキュメンタリーを撮っていて」と受賞式で話すシーン、新垣隆のサイン会に並び対面するシーンの森達也さんのアグレッシブさはカッコ良かった。

真実をあぶり出すというよりは、騒動後の「今の」佐村河内の姿をカメラに収めた様に思えた。怒りは少なく苦しみや悲しみの色合いが強く思えた。

「達也さんタバコ行きましょう」と行ってベランダに出てタバコを吸う佐村河内、大好きだと話す豆乳をコップになみなみと注ぐ佐村河内、かつてはニュース渦中にいた彼の人間くさい一面にハッとしてしまった。
そしてベランダから見える景色がすごく綺麗だった。

あの時、森達也のはるか下の線路を走り去る電車の中にいたであろう人々、眼下に広がる家々で暮らす人々、彼らは恐らくベランダでドキュメンタリーを撮影していることなど知らずに日常を過ごしていたのだろう。

佐村河内にも佐村河内夫妻にも日常はある。

騒動に疲れた佐村河内が、最後の最後で少しだけ光が降り注いだように思えた、エンドロール後の映像、その最後でまた森達也から意味深な言葉を投げかけられたような気持ちになった。
真実か嘘か、二択のカードを裏返しては表にし、いつのまにかカードの裏表がわからなくなる。
そんな感覚に近いかもしれない。
映画館を出てしばらくしてから「そういえばあの消火器の件はなんだったんだろう」と思ってしまう、観た人の心を揺さぶり続ける森達也の傑作だと思う。

あと、猫が可愛い。
猫がスクリーンに映る度に「猫が可愛い」と思った。
しかし冒頭のあの絶妙な猫の表情は印象深かった。もしかしてあの表情は、ほら、また映画「FAKE」について考えてしまいたくなる自分がいる。




6月がもう終わる

先日、夜中に何気なくYouTubeでホストのドキュメンタリー番組をいくつか見ていた。楓十座という方がよく登場していた。
昔はよく地上波でやっていたのにここ最近はやらなくなった。
ある番組では司会者役で飯島愛が出演していた、時代を感じる。

女性が高いお酒をどんどん飲む映像を見ながら金麦を啜る俺、我ながらどんな夜だ。
VICE japanの「夜のおもてなし」日本一のホストという動画が良かった。

ちなみに、俺の仕事はホストではないです。

さて、月末。
連休明けの仕事は疲れたが何とか無事に終わる。
ブログを更新したらシャワーを浴びて寝るつもりだ。

ウォークマンをシャッフルにして音楽を聴いていたらブルーハーツが流れた、夜に聴くブルーハーツの「月の爆撃機」は響くな、心に。

おやすみなさい。



くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン、乃木坂46、任天堂64、映画「青の炎」について。

久々にブログを更新してみようかと思う。

「そういえば途中から全然読んでなかったなー」と思いながら、今日ふと『SKET DANCE』の最終巻を立ち読みしたら感動的で危うくボロ泣きしかけた。
青春や学園系の物語における文化祭と卒業式のエピソードに俺は弱いんだと思う、心揺さぶられる。
文化祭といえば、高校生の頃、文化祭の準備中に普段使わないフロアに何かを取りに行く事になって、職員室から鍵を借り、友達と階段を登っている時に「あれ?このまま屋上に行けるんじゃないか?」という事に気付いた。
普段、そのフロアは施錠されているけれど借りた鍵で開けられるし、青春時代の憧れである「屋上へ行く」という行為を叶えられるとワクワクしながら屋上へ繋がるドアを開けた。
ドアのその先はドラマや映画でよく見るような雰囲気じゃなく、ただの屋根でとてもじゃないが歩くのは危険だったので引き返したけれど。
そんな事を思い出した。
屋上へのドアを開けた瞬間に空が見えて風がすごく吹いていたのは今でもかすかに覚えている。

夜ごはんを買いに行って牛乳を買い忘れた事を家に帰ってから気付いたり、何気なくTV番組「モニタリング」を見ていたら三四郎小宮のドッキリが面白くてゲラゲラ笑ってしまったり、そんな今日6月23日。

6月ももう残り少し。
早い気がする。
先日、昔からの仲である友達と久々に会ってお酒を飲みながら映画の話や色々な話をたくさんしたんだけれど、すごく楽しかった。その友達からオススメされた映画「ファイト・クラブ」をやっと最近見てその作品の魅力とカッコ良さについて話せたのが良かった。
先日といえば、用事があって高校の頃のクラスメイトと再会したり、久々に会って話したけれど会って話すとあの頃と変わらない瞬間があったような気がする、なんだか不思議な気分だった。実際「変わらないねー」と言われたし、それも楽しかった。

青春時代か、銀杏BOYZの音楽をよく聴いていた。冴えない青春、峯田和伸の歌声にどれだけ救われた事だろうか。
銀杏BOYZで一番好きな曲は何?と聞かれたら迷わずに「夢で逢えたら」と答えるだろう。
銀杏BOYZの「夢で逢えたら」がエンディング曲だったラジオ「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」がおよそ8年ぶりに復活というニュース、これはもう衝撃的だった。

2016年に発売された雑誌『まだ お笑いラジオの時間』でラジオ好きのパンサーの向井が、くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンを「今聴いてもメチャクチャ面白い」と話していた、同じ雑誌内にある菅谷直弘のコラム「親友はラジオの中に」も、くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンへの愛が溢れていた。
それらを読んで「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」が気になり始めていた矢先のニュース、本当に驚いた。
渋谷直角が2009年に発売された雑誌『splash!!』内のコラムで「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」について書いていた。そこには「有田が下ネタのラジオネームを読み上げ、上田が延々それにキレ続けるだけで2時間やった153回は神!」との一文が、これは気になると思いさっそく過去放送を聴いたら本当に面白くて、よく「ラジオを聴いていたら面白さに堪え切れずに思わず笑ってしまう」みたいなやつ、ラジオあるあるを体験してしまった。
しかも外で、歩きながら聴いていたら、思わず笑ってしまった。いや本当に堪え切れない、堪えるのは無理だ。
いつになく真剣な雰囲気の有田が、リスナーからの悩み相談や質問を大事にしたいと相談や質問を紹介していく、内容の真面目さとは裏腹にひどすぎる下ネタのラジオネームに吠える上田、上田の絶妙な言葉の投げかけが最高だった。

個人的には古坂大魔王がゲストに来た回も最高に好きだ。
古坂大魔王の「歯は白いけど口は赤!」の一言がふとした瞬間に脳裏に響いて笑ってしまいそうになる。

8年ぶりの復活放送をリアルタイムで聴けなかったのは悔しかったが、Twitterの「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」愛に溢れたツイートを色々読むだけで嬉しい気持ちになった。

中学生の頃に「めちゃイケ」の名物コーナー「笑わず嫌い」で見たくりぃむしちゅーの漫才には衝撃を受けたし、あの頃夢中で見ていたTV番組「笑いの金メダル」ではメインMCとして活躍していた。
中学生の頃に、クラスメイトから「なんか雰囲気がくりぃむしちゅーの上田っぽいよねー」と言われたのはすごく嬉しかった。部活動をサボってばかりで華々しい活躍もなく賞状やメダルは貰えなかった俺、もしかしたら冗談かもしれないけど何気ないその一言は、賞状やメダルを貰うよりも嬉しかったのだ。

くりぃむしちゅーのかつてのキャッチフレーズが「邪悪なお兄さん」というのもカッコいい。
そういえば昔、昼のニュース番組で色々な芸能人のキャッチフレーズを紹介していて「邪悪なお兄さん」と紹介されたのが「くりぃむしちゅー」で俺は「くりぃむしちゅーが邪悪なお兄さん?全然邪悪な感じじゃないのに」と思った事がある。
後々、過去の映像を見て少しわかった気がするけれど。邪悪というか、2人の佇まいにあるシャープさ鋭角さに「邪悪さ」を感じた。
しかしそれがまたカッコ良かった。

ラジオでは無いけれど、店内に流れていた曲で「あ!この曲いいな」と思い、最近好きな曲がある。
乃木坂46は名前は知っていたが曲にガツンとハマるのはこの曲が初だと思う。「今、話したい誰かがいる」のどこか切ない感じがすごく好きなのだ。
乃木坂46といえば、生駒里奈は個人的にどストライクな雰囲気です。

46じゃなくて64の話題になるのだけれど、さきほどTwitterで知った事、1996年の今日、つまりは1996年の6月23日にゲーム「任天堂64」が発売したらしい。子どもの頃に夢中になったゲームが「任天堂64」だった。
ある時は一人で、ある時は友達の家でみんなで、夢中になってゲームにのめり込んでいた。スーパーマリオ64の海のステージが怖かった、あの頃あんなに必死に覚えていた「時のオカリナ」の太陽の歌のコマンドも今じゃ全然思い出せないや、ポケモンスタジアムの始めのあの「ロクヨン!」って声を聞くだけでテンションがあがっていた。懐かしい、本当に。

1996年から時は流れて2003年、2003年に公開された映画「青の炎」を最近見た。公開当時話題になっていたのは覚えている。原作小説は昔読んだ事があったのだけれど、映画はまだ見ていなかったと思い見てみる事に。公開していたその頃から、二宮和也上戸彩が主演かとずっと思っていたんだけど、二宮和也松浦亜弥が主演だった。
年間勘違いしていたんだろうか、我ながら。

映画「青の炎」めちゃめちゃ面白かった。2003年の空気感というか昔すぎない良い感じの懐かしさがそこにあってすごく良かった。
シリアスな空気をさらに際立たせるかのような海沿いのあの爽やかさもいい。
途中で登場するあの博物館のような場所も良かった、長いエスカレーターに乗りながらコンビニ強盗の話をするシーン、強烈なインパクトがあった。

シャッフルモードで音楽を聴きながら、久々のブログ更新でした、ちなみに聴いた曲はこちら。


「東京」

「臨時ニュース」

back number
「海岸通り」

「Boogie Ku' damm」

「大人チャレンジ(できるかな?)」

「オレノバン」


「Mocking Bird」

「イエロウ」

plenty
「あいという」

「あてのない船」

「最後の信号」

TSUNAMIのジョニー」

L'Arc-en-Ciel
「いばらの涙」

「nostalgia」

「ほうき星」

『酒井若菜と8人の男たち』を読み終えた

先日のこと。

閑散としている夜の駅で、飲み会の待ち合わせをしていた、人通りは少ない。

向こうで「カラオケに行きましょーよー」という見知らぬ誰かの楽しげな声が反響している。

ふと、片隅に立ち並ぶ旅行パンフレットに目をやると、スイス・北欧、ヨーロッパ、イタリア、スペイン、グアム、香港、台湾、マカオ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、ハワイ、タヒチニューカレドニアパラオモルディブセイシェルモーリシャスなどの地名がずらりと並ぶ。

具体的な位置はわからないけれど、ここからは遥か遠い場所ばかりだ。人通りの少ない駅前では、地名だけでも華やかさが際立っているように思えた。

地理の授業は昔から苦手だった。

高校生の頃、地理の教科書の中に、日本以外の国の高校生の1日の様子みたいなページがあり、それを眺めながら「他の国の高校生活はこんな感じなのか」とボンヤリ思っていた記憶がある。

The Mirrazというバンドがすごく大好きなんだけれど、The Mirrazの曲で「世界一キレイなもの」という曲があってその歌詞の中に「モルディブ」って地名は出てくる。モルディブで透明な海を」という歌詞が。

いつのまにか4月が終わって5月。

世間一般で言うゴールデンウィークはほとんど仕事だったけれど、テレビ番組「HEY!HEY!NEO!」で、ダウンタウン銀杏BOYZ峯田和伸の共演をリアルタイムで見る事が出来ただけでもう疲れは全部吹き飛んだ。

つい先日『酒井若菜と8人の男たち』を読み終えた。

女優・酒井若菜との対談とエッセイ集。分厚いボリュームなので少しずつ読み進めていた。

中学生の頃、夜中に再放送していたドラマ「木更津キャッツアイ」にハマり、ビデオに録画し何度も見ていた。

多分「木更津キャッツアイ」を知らなければ酒井若菜さんの存在を知らなかったかもしれない。

酒井若菜と8人の男たち』ちなみにどの人物の章から読むか悩んだけれど、板尾創路の章から読み始めた。

板尾創路山口隆佐藤隆太日村勇紀岡村隆史水道橋博士、マギー、ユースケ・サンタマリアという順番で読んだ。

限りなく優しい一冊だ。

優しい温もりに満ちた一冊だ。

笑いあり涙あり、その一冊に込められた笑いと涙の純度の高さたるや、すごくステキだった。

サンボマスター山口隆のあの独特な喋り方、言い回しを活字で完全再現していてすごく読んでいて楽しかったし、サンボマスターの曲を久々に聴きたくなったキッカケの一冊でもある。

どの人物の章も魅力的な面白さがあり、一番面白い章は決めあぐねるが、やはり水道橋博士の章が個人的にはグッときた。

ユースケ・サンタマリアの章も良かった、普段は軽快なノリの軽妙洒脱なおしゃべりで笑わせてくれるユースケ・サンタマリアの意外な一面や内面を知る事が出来た。

何度でも読みたくなる一冊、心地良い読みごこち、疲れて枯れた心に水が染み込んでいくように、読むと心が潤うそんな一冊だと思う。



昨日のテレビが面白いのはエキセントリック、銀杏BOYZとダウンタウンがいるからさ

ダウンタウンのごっつええ感じ」という90年代を代表するコント番組を、リアルタイムで見ていない。

その理由は明白で、まだ俺が子どもだったからだ。

でも幼いながらに「エキセントリック少年ボウイ」の映像はテレビで見た記憶があって、大人になってから改めて「エキセントリック少年ボウイ」を見た時に「あ!俺、子どもの頃にこの映像見たことある」と思った。

大人になってから「ダウンタウンのごっつええ感じ」のDVDをレンタルして見て、そのコントのクオリティの高さ、面白さに打ちのめされた。
たしか「迷惑」という名前のコントだったと思う、浜田雅功演じる受験勉強をしている若者が、隣の部屋の騒がしさに腹を立て文句を言いに行くとその騒がしい部屋の中ではありえない光景が広がっているというもの。
が好きなのは、騒がしさに腹を立てた浜田雅功が部屋を訪ねたら部屋の中で松本人志たちが爆音でバイクをふかしているというもの、もうその段階でも面白いのに、最後にポツリと松本人志が言う「コーヒーいる人ー?」の一言がもうとにかく面白かった。「こうま」「ゴレンジャイ」「トカゲのおっさん」「ブスッ娘クラブ」etcセンスと切れ味が光るコントの数々は凄まじかった。

ダウンタウンといえば、大晦日の定番となった「ガキ使」の「笑ってはいけないシリーズ」を思い浮かべる人も大勢いるだろう。しかし俺はあまりあの番組が好きではない。たしかにめちゃめちゃ面白いのだが、正直見ていて疲れてしまう。あとガキ使の24時間鬼ごっこのDVDを友達の家で見たことあるが、あれは正直個人的に苦手な「笑い」だった。

ガキ使だったら、やっぱりフリートークが好きだ。
ダウンタウンのトークが俺は好きなのだ。
ガキ使の傑作トーク集のビデオを何度も見た。
『松本坊主』を読み、松本人志高須光聖のラジオ「放送室」を聴いた。
「しんぼる」と「さや侍」は公開当時映画館に一人で見に行った。
「しんぼる」が終わった瞬間に向こうの席から知らない誰かの「意味わかんなかったね」という声が聞こえてきた。
俺も正直難解な部分はあったけど「松本人志の笑いを俺はわかってるぞ」という雰囲気を精一杯出して映画館を出た。

月9ドラマ「恋仲」の第1話内で、主人公二人が高校時代に部屋で仲良く音楽を聴くシーンがあった。イヤホンで二人仲良く音楽を聴く本田翼と福士蒼汰
その聴いてる曲は、つまりそこで流れている曲は銀杏BOYZの「BABY BABY」だった。
思わず俺は「何で!?」と言ってしまった。

俺も高校時代は銀杏BOYZの曲を聴いていた、二人ではなく一人で。
イケてない青春時代の遣る瀬無さを吹き飛ばすかのように。
「SKOOL KILL」と「夢で逢えたら」の二曲に何度救われただろう。片思いしていた女の子からのメールの着信音を「夜王子と月の姫」にしていた事もあった。高校三年生の卒業式、青春時代の終わりの1日、いつものようにくだらない話をしながら友達と帰り道を歩いていた。
「じゃあ、またなー」と友達と別れ、一人になった。「またなーっていつだよ」と思った。一人になった俺は銀杏BOYZの「漂流教室」を聴きながら歩き出した。まるでそれは青春時代のエンドロールのようだった。

9年間。長すぎる沈黙を破り銀杏BOYZはアルバムを二枚同時発売した。
発売日前日に、何気なくTSUTAYAに行ったら銀杏BOYZのアルバムの店頭プロモが準備されていた。
それを見た瞬間に「本当にアルバムが出るんだ」と嬉しくなり思わず泣きそうになった俺は店を出た。
顔を上げたら向こうのセブンイレブンの看板がボンヤリと滲んで見えた、いつのまにかこらえきれず、静かに泣いていた。
銀杏BOYZの新しいアルバムは、俺が高校時代に聴きまくり血肉となっているかのような1stアルバム「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」と「DOOR」の二枚のような衝動と荒々しさは影を潜めていた。
青春時代が終わり、銀杏BOYZは大人になっていたような気がした。でもやはり甘酸っぱさはあるしノイズとたくさんの音色の中、峯田和伸の歌声は変わらずに響いていた。「ぽあだむ」という曲が特に好きで何度も聴いていた。

銀杏BOYZの新曲「生きたい」について番組内で、本来の曲の長さに松本人志も驚いていた。そうだ銀杏BOYZの新曲「生きたい」は15分11秒というもはやシングル曲とはあるまじき超大作だ。

ダウンタウンがMCの音楽番組「HEY!HEY!HEY!」の
スピンオフ企画として昨日放送された「HEY!HEY!NEO!」
SiM、クリープハイプDJみそしるとMCごはんken yokoyamaという濃いメンバーの最後に登場したのが、銀杏BOYZこと峯田和伸だった。

峯田和伸は「生きたい」を歌った。
熱量もその歌声も表情も何もかもが別格だった。
俺はテレビに釘付けになった。

歌が終わりダウンタウンとのトーク。
昔からダウンタウンのファンだという峯田和伸は緊張してなかなか話出せないでいる。
その姿を見て俺は感動で泣きそうになってしまった。
すごく嬉しかったのだ。トーク中に何度か「山形」という単語が出てきたのも、山形生まれの俺としては嬉しかった。当時ダウンタウンの番組をビデオに録画してもらい送ってもらっていたという話の時にまさか「ダウンタウン汁」という番組名が出るとは思わなかった。
樋口毅宏さんの小説『甘い復讐』の巻末にある引用リストの中に「ダウンタウン汁」があって俺はそれを読んでその存在を知った。「ダウンタウン汁スチャダラパー電気グルーヴが出演した回は見たことあるが、若かりしダウンタウンの尖り具合が面白かった、しぶーい顔でタバコをふかした松本人志がカッコ良かった。何よりトークが最高だった。
ダウンタウン汁」にスチャダラパーが出演した時もものすごく緊張していた。「なんかちょっとあまりにもファンゆえって感じで」とBOSEが話していた。
ダウンタウン汁」の頃のダウンタウン銀杏BOYZ峯田和伸がトークしたらどうなるだろうとくだらない妄想をしてしまう。

「HEY!HEY!NEO!」でのダウンタウン峯田和伸のトークは、明らかに他のアーティストとのトークと雰囲気が違った。言葉の端々に峯田和伸ダウンタウンへの愛が垣間見れて、あれはある種ラブソングなんじゃないだろうか。
峯田和伸は「ファンなんですよ とかあるじゃないですかそういう生易しいものじゃないんですよ」と話していた、多分あの放送を見ていた人はみんな峯田和伸の発言に納得しただろう。

俺ももしも峯田和伸とトークする機会があったなら、絶対あんな風になってしまうだろうなと思った。

これから先の人生のことなんて何一つわからないけれど、銀杏BOYZが歌い続けて、ダウンタウンがトークし続けてくれていれば、大丈夫な気がするんだ、俺は。



ラッパーACE を 支えた Aから始まるロックバンド

日曜日だ。

子どもの頃は、日曜日というと早起きをしてデジモンのアニメを見るのに夢中になっていたのに、大人になってからはもうそんな習慣は無くなってしまった。

そういえば今朝早くに大雨が降っていたなと思いながら目を覚ます。
もう「ワイドナショー」が終わるくらいの時間だ、マジか、お昼も間近。
なんとなくテレビをザッピングするとサンジャポのエンディングが流れた。
壇蜜を久しぶりにテレビで見た。
壇蜜のような女性、個人的にはどストライクに好きだ。

ここ最近、俺が住んでいる地域では日曜日の午後から「家、ついて行ってイイですか?」という番組が放送されている事が多い。
昔、何気無くこの番組を見ていたら、そのドキュメント性と飾らない本音に心打たれた事があった。この番組に以前ラッパーの「ACE」が出演したという事を知り驚いた事がある。

戦極MCバトルや高校生RAP選手権など、ラップやMCバトルの動画にハマり、夜な夜なYouTubeで見漁っていた頃に「TOKYO FREE STYLE vol.7」という動画をキッカケにACEというラッパーを知った。
渋谷の街の雑踏を歩きながらラップするACEの姿がとにかくカッコ良くて何度も見ていた。
街の中を歩いている映像というのが、MVでも映画でもドラマでも個人的にすごく好きなのだ。

ACEのファンになったキッカケはもう一つある。
「家ついて行ってイイですか?」という番組の中で、憧れのラッパーは誰かと聞かれた時に「ラッパーというかボク、ASIAN KUNG-FU GENERATIONというバンドがすごい大好きで」と語っていたのだ。少年時代に体験したつらい経験、ふさぎ込んだ気持ちを支えてくれたのがアジカンの楽曲だという。
ACEがアジカン好きというのはすごく意外だった、しかしものすごく嬉しかった。

俺もアジカンが大好きで、それこそ中学生や高校生の頃は何度も何度もアジカンの曲を聴いていた。
アルバム「君繋ファイブエム」「ファンクラブ」の曲を聴くとふとあの頃の冴えなくも楽しかった青春時代の出来事が呼び覚まされるような感覚がある。

ACEのアルバム「ストレート」の中に「Butterfly Effect feat.Gotch」というアジカンのフロントマンであるゴッチこと後藤正文とコラボした楽曲がある。
この曲が個人的にはすごく好きで何度も聴いている。

音楽は誰かを救う。

ACEがシャウトする力強いラップに。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONが鳴らす純度の高いロックに。

ACEがかつてアジカンの音楽に救われたように音楽が景色を変えることだってあると思う。

俺が選ぶ「自分の背中を押してくれるような音楽」いくつも候補はあるしもちろんその中には「Butterfly Effect feat.Gotch」は入っている。