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FamilyMartってTommy heavenlyとちょっと文字の雰囲気が似てる気がするBlog

何気ない日常、音楽や映画や小説やテレビなどの感想。

青春という闇の中の銃撃戦

ワンピースのルフィが放つ「ゴムゴムのピストル」よりも、強いピストルを知っているだろうか。暗闇の中、ラジオの中、ブルーハーツよろしく「見えない銃」を撃ちまくる連中がいる。

それはきっと「本当のともだち」に捧げる銃声だ。

この漫画を買った日はいつだったろうか。でもその日は雨が降っていたのを覚えている。

本屋から家に戻り、部屋で読み始めた。夢中で読み耽ってしまった。あの日、俺はこの物語に心を撃ち抜かれてしまったのだ。

榎屋克優さんの『テキサスレディオギャング』だ。

この作品を知ったきっかけは、大好きなPodcastである「細身のシャイボーイのアコースティックラジオ」を聴いたからである。その中で榎屋さんが出演している「テキギャン祭り」という回があり、そこで話題に挙がったのがこの作品だったのだ。以前、榎屋さんの『日々ロック』という漫画の一巻を読み、爆音の様な迫力ある衝撃と感動を味わった俺としては「日々ロックの作者が今度はラジオをテーマに漫画を描いただって!?」とテンションが上がったのだ。青春とラジオ、これほど最高なテーマは無い。

『テキサスレディオギャング』の主人公は「山本ピーター」という高校生の少年。ハーフで美形であり、クラスのみんなからはちやほやされるが、いかんせんその空気に苦手意識を感じる彼は、気の合う友人たちとラジオの感想などを喋ったり、深夜に部屋でラジオを聴いている時が一番幸せを感じている。

このピーターと仲のいい友人たちのグループはいわゆる「イケてないグループ」だ。ブツブツと小言をこぼしがちな「轟秀平」クラスでは残念なKYキャラ扱いをされているという「佐々木光」そしていつも憎めない笑顔を浮かべている「柴田兼一」通称「シバケン」の三人。そしてそのグループとは対照的な立ち位置なのが、スクールカーストの上位ともいえる「鮫島」という生徒が率いるグループ。いわゆる「イケてるグループ」である。
鮫島はシバケンをパシリにしたりと散々イジメている、そんな鮫島はピーターの事を気に入っているらしく何かと話しかけたり自分たちのグループの輪に入れたがっている。

親友であるシバケンがイジメられているその光景を黙って見ているしかない三人、しかしそんなある日、大きな事件をきっかけに三人は動き出す。

そしてピーターが発見した、シバケンが作っていた西部劇の「ラジオドラマ」が大きな武器になる。

「ラジオドラマ」について、この漫画を読むまでほとんど知らなかった。だが、この漫画がきっかけでラジオドラマにすごく興味を持った。

ラジオドラマという「音声のみ」で作られた作品は、暗闇の中で己の聴覚と想像力だけで物語の音や光景が何重にも広がっていくんだろうな、そんな要素を感じたのだ。

「鮫島」にターゲットにされ、生徒たちから呆れられ笑われながらも、三人は自分たちの武器である「ラジオドラマ」を作り上げるために奮闘する。

そしてクライマックス。卒業式のシーン。このシーンは何度読んでも鳥肌ものだし、何度読んでも心が震える。『日々ロック』の一巻の体育館ライブにも通じる様な衝撃がある。が、『テキサスレディオギャング』のクライマックスは『日々ロック』の一巻のクライマックスに比べ、よりシリアスかつ鋭さが増している。

読み終えた後、この物語に心を撃ち抜かれた。
この撃ち抜かれて出来た空洞を埋めるくらいの衝撃と熱量と感動を持つ漫画とはしばらく出会えないような気がする、そのくらいこの作品は響いた。