昨日のテレビが面白いのはエキセントリック、銀杏BOYZとダウンタウンがいるからさ
「ダウンタウンのごっつええ感じ」という90年代を代表するコント番組を、リアルタイムで見ていない。
その理由は明白で、まだ俺が子どもだったからだ。
でも幼いながらに「エキセントリック少年ボウイ」の映像はテレビで見た記憶があって、大人になってから改めて「エキセントリック少年ボウイ」を見た時に「あ!俺、子どもの頃にこの映像見たことある」と思った。
大人になってから「ダウンタウンのごっつええ感じ」のDVDをレンタルして見て、そのコントのクオリティの高さ、面白さに打ちのめされた。
たしか「迷惑」という名前のコントだったと思う、浜田雅功演じる受験勉強をしている若者が、隣の部屋の騒がしさに腹を立て文句を言いに行くとその騒がしい部屋の中ではありえない光景が広がっているというもの。
俺が好きなのは、騒がしさに腹を立てた浜田雅功が部屋を訪ねたら部屋の中で松本人志たちが爆音でバイクをふかしているというもの、もうその段階でも面白いのに、最後にポツリと松本人志が言う「コーヒーいる人ー?」の一言がもうとにかく面白かった。「こうま」「ゴレンジャイ」「トカゲのおっさん」「ブスッ娘クラブ」etcセンスと切れ味が光るコントの数々は凄まじかった。
ダウンタウンといえば、大晦日の定番となった「ガキ使」の「笑ってはいけないシリーズ」を思い浮かべる人も大勢いるだろう。しかし俺はあまりあの番組が好きではない。たしかにめちゃめちゃ面白いのだが、正直見ていて疲れてしまう。あとガキ使の24時間鬼ごっこのDVDを友達の家で見たことあるが、あれは正直個人的に苦手な「笑い」だった。
ガキ使だったら、やっぱりフリートークが好きだ。
ダウンタウンのトークが俺は好きなのだ。
ガキ使の傑作トーク集のビデオを何度も見た。
「しんぼる」と「さや侍」は公開当時映画館に一人で見に行った。
「しんぼる」が終わった瞬間に向こうの席から知らない誰かの「意味わかんなかったね」という声が聞こえてきた。
俺も正直難解な部分はあったけど「松本人志の笑いを俺はわかってるぞ」という雰囲気を精一杯出して映画館を出た。
月9ドラマ「恋仲」の第1話内で、主人公二人が高校時代に部屋で仲良く音楽を聴くシーンがあった。イヤホンで二人仲良く音楽を聴く本田翼と福士蒼汰。
その聴いてる曲は、つまりそこで流れている曲は銀杏BOYZの「BABY BABY」だった。
思わず俺は「何で!?」と言ってしまった。
俺も高校時代は銀杏BOYZの曲を聴いていた、二人ではなく一人で。
イケてない青春時代の遣る瀬無さを吹き飛ばすかのように。
「SKOOL KILL」と「夢で逢えたら」の二曲に何度救われただろう。片思いしていた女の子からのメールの着信音を「夜王子と月の姫」にしていた事もあった。高校三年生の卒業式、青春時代の終わりの1日、いつものようにくだらない話をしながら友達と帰り道を歩いていた。
9年間。長すぎる沈黙を破り銀杏BOYZはアルバムを二枚同時発売した。
それを見た瞬間に「本当にアルバムが出るんだ」と嬉しくなり思わず泣きそうになった俺は店を出た。
顔を上げたら向こうのセブンイレブンの看板がボンヤリと滲んで見えた、いつのまにかこらえきれず、静かに泣いていた。
銀杏BOYZの新しいアルバムは、俺が高校時代に聴きまくり血肉となっているかのような1stアルバム「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」と「DOOR」の二枚のような衝動と荒々しさは影を潜めていた。
青春時代が終わり、銀杏BOYZは大人になっていたような気がした。でもやはり甘酸っぱさはあるしノイズとたくさんの音色の中、峯田和伸の歌声は変わらずに響いていた。「ぽあだむ」という曲が特に好きで何度も聴いていた。
ダウンタウンがMCの音楽番組「HEY!HEY!HEY!」の
スピンオフ企画として昨日放送された「HEY!HEY!NEO!」
峯田和伸は「生きたい」を歌った。
熱量もその歌声も表情も何もかもが別格だった。
俺はテレビに釘付けになった。
歌が終わりダウンタウンとのトーク。
その姿を見て俺は感動で泣きそうになってしまった。
すごく嬉しかったのだ。トーク中に何度か「山形」という単語が出てきたのも、山形生まれの俺としては嬉しかった。当時ダウンタウンの番組をビデオに録画してもらい送ってもらっていたという話の時にまさか「ダウンタウン汁」という番組名が出るとは思わなかった。
樋口毅宏さんの小説『甘い復讐』の巻末にある引用リストの中に「ダウンタウン汁」があって俺はそれを読んでその存在を知った。「ダウンタウン汁」スチャダラパー、電気グルーヴが出演した回は見たことあるが、若かりしダウンタウンの尖り具合が面白かった、しぶーい顔でタバコをふかした松本人志がカッコ良かった。何よりトークが最高だった。
「HEY!HEY!NEO!」でのダウンタウンと峯田和伸のトークは、明らかに他のアーティストとのトークと雰囲気が違った。言葉の端々に峯田和伸のダウンタウンへの愛が垣間見れて、あれはある種ラブソングなんじゃないだろうか。
俺ももしも峯田和伸とトークする機会があったなら、絶対あんな風になってしまうだろうなと思った。